コマンチェロ

1961年作品
監督 マイケル・カーティス 出演 ジョン・ウェイン、スチュアート・ホイットマン
(あらすじ)
お尋ね者のリグレット(スチュアート・ホイットマン)を取り逃がしてしまったテキサス警備隊のカッター大尉(ジョン・ウェイン)。その後、コマンチ族に武器を密売している白人強盗団コマンチェロの存在を知り、武器商人になりすまして接触を試みるが、そこで運悪くリグレットと再会してしまったことから作戦は失敗。カッターは、ひょんなことから警備隊に入隊することになったリグレットと組んで、再びコマンチェロの本拠に乗り込むが….


1962年にこの世を去ったマイケル・カーティスの遺作となった西部劇。

コマンチェロというのは、白人とコマンチ族インディアンの混成チームによる強盗団であり、テキサスの大平原の真っ只中に彼等自身のコミュニティを作って暮らしている。まあ、正統派西部劇としてはちょっと特異な印象を受ける設定ではあるが、エルマー・バーンスタインの軽快なテーマに乗って始まる本作は、掛け値なしの痛快娯楽西部劇と言って良いだろう。

どこからみても善人にしか見えない“お尋ね者”のリグレットや、彼に接近した理由が単に彼に一目惚れしただけだったことが後に判明する“謎の美女”(=しかも、偶然にも彼女はコマンチェロの首領の娘だった!)といった具合に、登場人物は良くも悪くも大変楽しい方々ばかりであり、そんな彼等がご都合主義満点のストーリーに沿って活躍するお姿はまさに痛快そのもの。

リグレットに扮しているスチュアート・ホイットマンは、我が国でも70年代に放映されたTVシリーズ物の西部劇「シマロン」で主役を務めていたのが懐かしい。本作公開当時32歳と主演のジョン・ウェインより20歳以上若いんだけど、なかなか堂々とした演技を披露してくれており、(お馴染みのパターンではあるが)彼とクソ真面目なカッター大尉との間の“奇妙な友情”というテーマが本作のベースになっている。

ということで、本作は、晩年のマイケル・カーティスによるユーモラスでゆる〜い演出が十分楽しめる作品になっており、「俺たちは天使じゃない(1955年)」なんかと同様、最近の作品ではまずお目にかかることの出来ないのんびりとした長閑な雰囲気を満喫できる。前半でカッター大尉にあっけなく倒されてしまうコマンチェロ一味の悪党にあのリー・マービンを起用したのも、この監督ならではの観客サービスだったのかもしれません。