裸の拍車

1953年作品
監督 アンソニー・マン 出演 ジェームズ・スチュワートジャネット・リー
(あらすじ)
1868年、ハワード・ケンプ(ジェームズ・スチュワート)は、ならず者のベンを追ってはるばるカンザスからコロラドのロッキー山中へとやって来た。たまたま知り合った金鉱探しのジェシーと元騎兵隊のロイの助けを借り、断崖の上に潜んでいたベンと連れの若い娘リナ(ジャネット・リー)を捕えることに成功するが、彼に5千ドルの賞金がかけられていることを知ったジェシーとロイは、ケンプに1/3の分け前を要求する….


アンソニー・マンジェームズ・スチュワートのコンビによる西部劇。

ケンプは、生まれ故郷のカンザスで営んでいた牧場を愛する婚約者に騙し取られてしまったという暗〜い過去の持ち主であり、その牧場を買い戻す金欲しさから、賞金稼ぎに身を落としてコロラドくんだりまで賞金首を追ってきたという設定。

したがって、素直にジェシーとロイに分け前を与える訳にはいかないケンプはとても困った立場に追い込まれてしまう訳であるが、そのへんの事情を熟知しているベンは、このネタを使って3人が仲間割れを起こすように仕向け、そのドサクサに乗じて逃亡しようと企んでいる。

いや、こう書いていくと何かとても良く出来た脚本のように思えてくるが、実際は、ケンプの受けた銃創が(ストーリーの都合によって)自然に回復してしまったり、リナやジェシーがあまりにも簡単にベンの甘言に乗せられてしまったりと、若干不自然と思われるような箇所も散見され、まあ、西部劇だから大目に見たいところではあるが、全体的な完成度は決してそう高いものではない。

主演のジェームズ・スチュワートは、そういう訳で、いつもの誠実な人柄は最後の最後まで内に秘めたままであり、こういった仲間を出し抜こうとする彼の狡猾そうな演技が見られるのはちょっと珍しいことかもしれない。また、お尋ね者のベンに扮しているは若き日(とはいっても、公開当時44歳)のロバート・ライアンであり、ちょっとひねった癖のある演技を見せてくれる。まあ、あまり上手いとは思えないけどね。

ということで、アンソニー・マンジェームズ・スチュワートのコンビによる西部劇は、本作を含めて全部で5本作られている訳だが、恥ずかしながら、有名な「ウィンチェスター銃’73(1950年)」以外は見たかどうかさえ覚えていない始末。機会があったら、「怒りの河(1951年)」あたりから見直してみようと思います。