一昨年のイタリア旅行以来、趣味の一つになりかけているキリスト教関係のお勉強の一環として「聖書時代史 新約篇」を読んでみた。著者は立教大学教授(新約聖書学)の佐藤研。
「まえがき」によると、「(新約聖書の書かれた時期の)『時代史』を踏まえた『最初期のキリスト教史』」ということであり、時期的にはイエスの登場する30年程前から新約聖書の実質的な成立時期である紀元後2世紀までを対象としているとのこと。
ただし、量的にはむしろ「時代史」の方が多めのようであり、「最初期のキリスト教史」の方はというと、(専門家の間では有名なのかも知れないが、少なくとも俺にとっては)あまり耳にしたことのない固有名詞の羅列に終わっている部分が相当あり、ちょっと物足りなかった。
まあ、これに関しては、著者自身が「あとがき」で「キリスト教史の最初の2世紀間とは、余りにも不明な点が多く、断片的なことしか分からないのが実情」といっているせいなのかもしれないが、イエスの死後、キリスト教が(一応)成立するまでの間に様々な人々の思想や時代背景が関与したことは十分に理解出来たところであり、それらを統合するため、後日、三位一体説のようなアクロバチックな概念が必要になったのも大いに頷ける。
ということで、本書ではパウロの布教活動については比較的詳しく説明されているのだが、今度は彼のライバルであるペテロの具体的な活動内容についても是非知りたいところ。それと、本書には「聖書時代史 旧約篇」という姉妹編もあるので、機会があったらそちらも読んでみたいと思います。