1993年作品
監督 ジョン・マクノートン 出演 ロバート・デ・ニーロ、ユマ・サーマン
(あらすじ)
シカゴ市警の刑事ウェイン(ロバート・デ・ニーロ)は、“マッド・ドッグ”という仇名に似合わない気弱で慎重な性格の持ち主。ある日、コンビニ強盗に遭遇し、彼の慎重な対応によって人質にされていた男性ともども事なきを得るが、実はその人質にされていた男というのがマフィアのボスであり、助けてもらったお礼に自分の情婦グローリー(ユマ・サーマン)を一週間限定でウェインに貸してくれることに….
ロバート・デ・ニーロ&ビル・マーレイという異色の顔合わせによるコメディ作品。
冒頭、見たことのない若者たちによるショッキングな射殺シーンから始まるもんで、一瞬、見る映画を間違えたのかと思ってしまうくらい。まあ、その後は主役のお二人にマフィアのボスであるマイロ(ビル・マーレイ)が加わった奇妙な三角関係がテーマとなってストーリーが展開していく訳だが、これがいまひとつ素直に笑わせてもらえない。
その最大の理由は、本作のコメディとシリアスの境界線上を行くような演出方法にあり、当然、ジョン・マクノートン監督は意図的にやっているんだろうが、その効果の方は結構微妙なところ。確かに、ウェインの同僚マイクとマイロの部下ハロルドとの掛け合いシーンの描き方なんかはなかなか面白かったけど、全体的に“中途半端”っていう批判も当然あると思う。
また、こちらは計算外なんだと思うけど、最初に見せられた衝撃シーンの後遺症というのも意外に大きい。俺のように気の弱い観客の場合、画面上に拳銃の映像がチラっと映っただけで、再びあの惨劇シーンが繰り返されるのかと思わずビビってしまい、もう、そのシチュエーションを楽しむだけの心の余裕がなくなってしまうんだよねえ。
まあ、とはいうものの、ロバート・デ・ニーロとビル・マーレイの絡みはやっぱりとても面白く、それだけでも見る価値は十分にある。特に、趣味がスタンダップ・コメディというマフィアのボスに扮するビル・マーレイ(=身長185cm)の存在感は想像以上であり、正直、ロバート・デ・ニーロ(=同178cm)を完全に喰ってしまっている。(まあ、そこは喰われた方も巧いんだろうけどね。)
ということで、見ているときには決して大笑いできるような作品ではないが、後で思い返してみると結構面白いというちょっと変わったコメディ映画。ヒロインのユマ・サーマンも可愛いかったし、機会があったらそのうちまた見直してみたいと思います。