故郷/阿Q正伝

竹内好に関する事前学習の一環として、魯迅(=今は“ルーシュン”って呼ぶんだね。)の「故郷/阿Q正伝」を読んでみた。本来なら、岩波文庫の「阿Q正伝・狂人日記」(竹内好訳)の方を読むべきなんだろうが、あまり最初から竹内一辺倒になるのも少々躊躇われるので、今回は敢えて光文社版を選択させて頂いた次第。

魯迅の「吶喊」と「朝花夕捨」という2冊の短編集から、彼の代表作である「故郷」、「阿Q正伝」それに「狂人日記」の3編を含む16の作品が選ばれているのだが、一番長いのが「阿Q正伝」の80ページ弱で、その他はいずれも10〜20ページといったところ。思ったより読みやすい文章だった。

読んだ印象からすると、文学的な完成度が最も高いのは「故郷」、物語設定が面白いのは「狂人日記」であるが、やはり一番印象に残るのは「阿Q正伝」であり、当時の中国における国民性批判という歴史的意義を意識せずに、単なるコメディとして読んでも一級品。川島雄三あたりの脚本・監督で映画化されていたら、さぞかし面白い作品になっていたと思う。

ということで、そろそろ竹内好自身の著作を読んでみようと思うのだが、どこから取り付けばいいのかなあ。まあ、とりあえず「日本とアジア 」(ちくま学芸文庫)あたりを読んでみましょうか。