文庫本2冊でギリシャ時代からヘーゲルまでの西洋哲学の概要が理解できるということで、シュヴェーグラーの「西洋哲学史」を読んでみた。
綺羅星のごとく存在する哲学者の中から幾人かのスーパースターを選び出し、逐次その理論を説明するという手法がとられているが、あらかじめ、各登場人物と彼の活躍した時代における哲学の潮流との関係を簡単に紹介しておいてくれるので、とても理解しやすいし、教科書としては理想的。
な〜んて思いつつ、ギリシャ時代が中心だった上巻を読み終え、下巻の方に移った訳であるが、読み進めるうちに次第に理論は高度化していき、聞いたことのない用語が頻発するようになる。正直、本書における最大のスーパースターであるカントに関しては2、3割も理解できなかっただろうし、フィヒテ、シェリングについてもほぼ同様。
最後のヘーゲルに関してはマルクスの解説書等で予備知識があったため、まあ、時間はかかったものの何とか読了することが出来たが、やっぱり学問に王道なしという厳格な事実を痛感させられた。ただし、カントの自由、不死、神を巡る理論的理性と実践理性との関係に関する考察なんかはなかなか興味深く、今後は彼の著書を地道に読んでみようと思う。
ということで、西洋哲学に対するキリスト教の影響に関してもちょっと興味があったのだが、残念ながら、本書にはキリストに関する直接的な記述はなく、特にそういった問題意識下で書かれてもいなかった。しかし、ヘーゲルに至ってもやはり神の問題を無視する訳にはいかなかったようであり、まあ、そのことが判っただけでも一応の収穫です。