ラヴ・パレード

1929年作品
監督 エルンスト・ルビッチ 出演 モーリス・シュヴァリエジャネット・マクドナルド
(あらすじ)
シルヴァニア国のアルフレッド伯爵(モーリス・シュヴァリエ)は、パリでの放蕩暮らしがバレてしまい、本国に強制送還され、女王のルイーズ(ジャネット・マクドナルド)の前で申し開きをすることになる。ところが、若くて未婚の女王は彼の恋物語に興味津々で、アルフレッドはそんな彼女に対し“罰としてあなたの傍に一日中お仕えしたい”と申し出る….


エルンスト・ルビッチのトーキー第一作目であり、本作で採用されたストーリーに歌が入るという形式は、シネオペレッタと呼ばれて一世を風靡し、後のミュージカルの原型になったとのこと。

まあ、この間見た「陽気な中尉さん(1931年)」の方にも歌が入っていたし、ともにヨーロッパの架空の国の王室が舞台だったりと両者の設定に共通するところも少なくない。本作でもシュヴァリエ扮するアルフレッドは女王のルイーズと結婚することになるんだけれど、彼はあくまで“女王の夫”に過ぎない訳で、何の権力も持たず、国政に口を挟むことすら禁じられてしまう。

ルフレッドはそんな境遇が次第に我慢できなくなり、遂には離婚を言い出す訳であるが、最後は、やはり「陽気な中尉さん」のときと同様、女性の側が全面的に譲歩することによって仲直りのハッピーエンド。うーん、まあ、この“調子の良さ”というのがこの頃のシュヴァリエの売りだったのかも知れないけど、同じ男としてちょっと完全には納得できないかなあ。

その理由の一つとして、この女王ルイーズに扮しているジャネット・マクドナルドがとても良いんだよね。彼女は本作が映画初出演になる訳だけど、おそらく舞台で鍛えたものと思われる演技力と歌唱力はともに本物であり、しかも美人でスタイルも悪くない。クラーク・ゲーブルと共演した「桑港(1936年)」のときも良かったけれど、デビュー当時の彼女のお姿が拝めるだけでも本作を見る価値は十分にあると思う。

ということで、主演のお二人以外ではアルフレッドの侍者ジャックと女王の召使ルルのコンビによるコミカルなダンスと演技も本作の雰囲気を盛り上げるのに大いに役立っている。特に、当時としては珍しかったであろうルル役のリリアン・ロスのミニスカート姿は、とてもキュートでした。