陽気な中尉さん

1931年作品
監督 エルンスト・ルビッチ 出演 モーリス・シュヴァリエクローデット・コルベール
(あらすじ)
オーストリアの近衛兵であるニキ中尉(モーリス・シュヴァリエ)は女性にモテモテの色男。隣国のフラウゼンタウム大公の警護をしている最中、見物人の中に恋人のフランジークローデット・コルベール)の姿を見つけた彼は、彼女に笑顔でウインクを送る。しかし、その時、偶然彼の前を通りかかった大公女アンナ姫は自分が嘲笑されたと勘違いし、一大スキャンダルとなる….


俺が今までに見たルビッチ作品の中では、最も古い一本。

隣国の大公から呼出しを受け、笑った理由を詰問されたニキは、いつもの調子で“アンナ姫がとても美しかったから”と答えたため、彼女もニキにメロメロ。遂にはオーストリアの国王まで動かして、強引にニキとの結婚を決めてしまう。しかし、フランジーのことが忘れられないニキは、どうしてもアンナのことを愛することができない。

調子の良いニキがこの窮地をどのように切り抜けるか、というのが後半における主要な関心事になる訳だが、結局、彼は自分の感情の赴くままに行動するだけであり、フランジーとアンナとの話し合いの中で打開策が見出されていく。

この情けない主人公のニキに扮するのが、御大のモーリス・シュヴァリエであり、その白塗り+ポマード頭の容姿といい、ニターっと笑う表情といい、とっても気持ちが悪い。しかし、それが許せてしまうというか、不快に感じられないあたりが彼の凄いところであり、ハリウッドでも成功した秘密なんだろう。

また、フランジー役のクローデット・コルベールとアンナ役のミリアム・ホプキンスという、後の大女優の若かりし頃の共演が楽しめるのも本作の大きな魅力。どちらかというと、お姉さんタイプのフランジーが箱入り娘のアンナのことを気遣うという関係なんだけど、調べてみたら実年齢ではミリアム・ホプキンスの方がクローデット・コルベールより1歳年上なんだね。

ということで、男女の情事を連想させる映像が各所にちりばめられている等、まさに艶笑喜劇と呼ぶにふさわしい作品。それと、シュヴァリエやコルベールの歌を聴くこともできるんだけど、シュヴァリエの歌い方って、この頃からあんなだったんだなあ。