ザ・マジックアワー

妻のリクエストにより、娘が友人とカラオケに出かけている間を利用して、「ザ・マジックアワー」を見てきた。

三谷幸喜の映画を見るのはこれが初めてであるが、彼が脚本を担当した「古畑任三郎シリーズ」や「新撰組!」といったTVドラマは楽しく拝見させていただいており、彼がビリー・ワイルダーを尊敬しているっていうこともあって、俺もちょっと期待に胸を膨らませて映画館へ。

で、本作を見ての感想であるが、過去の娯楽映画に対するオマージュが溢れており、実際、なかなか面白い作品だったと思う。しかし、同じハリウッド喜劇のファン(?)としては、見ていながら“そこはこうだろう”っていう考えがついつい意識をよぎってしまい、ちょっと作品に集中できなかったのが困ったところ。

例えば、あの“デラ冨樫ネタ”で2時間を超える上映時間を乗り切ろうというのはやっぱり少々無理であり、本来ならば妻夫木聡扮する備後の方を主演に据え、佐藤浩市のデラ冨樫は狂言回し的に使うのがスジだと思うし、また、ギャングのボスとその情婦に扮した西田敏行深津絵里は、根っからの悪人ではないことが最初から観客に判ってしまい、ともにミス・キャストだと思う。

まあ、そうはいっても、このへんは本作をハリウッド喜劇のベタなリメイクにしたくないという三谷幸喜の意地みたいなものかもしれず、とりあえずは許容の範囲内。本作を見ながらなんとなく感じられた“彼の作りたい映画”との間にはまだギャップがあるんじゃないかと思うが、それについては次回作以降に期待ということで。