コンチネンタル

1934年作品
監督 マーク・サンドリッチ 出演 フレッド・アステアジンジャー・ロジャース
(あらすじ)
米国人の名ダンサー、ガイ・ホールデンフレッド・アステア)は、空港の税関で美しい女性(ジンジャー・ロジャース)と知り合いになる。彼女のことが忘れられないガイはロンドン中を探し回り、ある日、偶然に再会を果たすものの、彼女はミミという名前を告げただけで立ち去ってしまう。実は、彼女は不幸な結婚生活に悩んでおり、ガイの親友エグバートの法律事務所に離婚の相談に訪れるのだが….


「空中レヴュー時代(1933年)」で初めて共演したアステア&ロジャースが、その翌年にコンビとして初主演を果たした作品。

ミミが上手く離婚できるよう、エグバートはあるホテルで彼女とニセの浮気相手との逢瀬をでっち上げようとするが、たまたまエグバートに同行してきたガイのことを彼女がニセの浮気相手と思い込んでしまったため、事態はあらぬ方向へ、っていうお話し。

監督&主演だけでなく、エドワード・エヴァレット・ホートン、エリック・ローズ、それにエリック・ブローアといった共演者までが先日見た「トップ・ハット(1935年)」と同じであり、ロジャースがアステアのことを別の人物と勘違いするという筋書きもこれまた一緒。

まあ、普通なら二番煎じ(=いや、こっちのほうが先に公開されているので、「トップ・ハット」のほうが二番煎じなんだけどね。)っていう声も上がりかねないところなんだけど、実際に見てみるとこっちも十分に面白いのでまったく不満はない。特に、ミミのニセの浮気相手役であるエリック・ローズは「トップ・ハット」のときとは随分違ったキャラに扮しているんだけど、これが傑作でとても可笑しい。

また、ミミの叔母役に扮するアリス・ブラディは、「若き日のリンカーン(1939年)」のときに見せた感動的な演技からは全く想像もつかない見事なコメディエンヌぶりを発揮しており、まだ幾分ぎこちなさが残るロジャースの演技をきちんとフォローしているのには驚いた。

肝心のアステア&ロジャースによるダンスも、コール・ポーターの「Night and Day」や邦題にもなった「The Continental」といった名曲に乗って見る者を十分に堪能させてくれるし、彼等の代表作といわれる「トップ・ハット」と比較しても、まったく遜色のない作品である。まあ、敢えて言えば、ロジャースの演技がやや自信なさそうで、精彩を欠いている点がちょっと落ちるかもしれないけど。

ということで、「Let's K-nock K-neez」では公開当時18歳のベティ・グレイブルが唄とダンスを披露してくれるという嬉しいオマケつき。第二次大戦中はピンナップガールとして大人気だったという彼女であるが、この頃はまだセクシーさよりも可愛らしさが前面に出ており、健康的なお嬢さんという感じでした。