踊らん哉

1937年作品
監督 マーク・サンドリッチ 出演 フレッド・アステアジンジャー・ロジャース
(あらすじ)
パリで活躍中の有名なバレエ・ダンサー“ペトロフ”ことピーター(フレッド・アステア)はレビュー・スターのリンダ・キーン(ジンジャー・ロジャース)の大ファン。彼女が米国へ帰ることを知ったピーターは、何とか同じ船に乗り込むことに成功するが、彼を追いかけてきた昔の恋人を追い払うために「結婚している」と嘘をついたことが発端となり、ピーターとリンダが結婚しているというニュースが広まってしまう….


フレッド・アステアジンジャー・ロジャース・コンビの主演第6作目

例によって、アステア扮するピーターがロジャース扮するリンダに一目惚れし、積極的にアタックを試みる訳であるが、結婚のデマに腹を立てた彼女はなかなか彼の気持ちを受け入れようとはせず、最後の最後にピーターが講じた“奇策”によってようやくハッピーエンドへと辿り着く。

ちょっと登場人物が多すぎる等、脚本が十分に整理されていないため、話がスムーズに進まないという欠点は見受けられるものの、「トップ・ハット(1935年)」以来の登場となるエドワード・エヴェレット・ホートンの期待通りの大活躍のおかげで、コメディ作品としても立派に成立している。「コンチネンタル(1934年)」や「トップ・ハット」には及ばないにしても、最後まで楽しく見られる作品に仕上がっており、出番はあまり多くなかったけれど、エリック・ブローアも良い味を出していた。

歌と踊りはいつもの通り素晴らしいのだが、まあ、ストーリーのせいもあるのかもしれないけれど、ジンジャー・ロジャースがいまひとつノリ切れていないような印象を受けた。特に二人が公園でローラースケートを履いて踊るシーンでは、彼女は明らかに転ぶのを怖がっており、折角の果敢な挑戦が裏目に出てしまっているのがちょっと残念なところ。

ということで、本作の音楽を担当しているのは、あのジョージ・ガーシュウィン。今、調べたところによると、彼の命日は1937年7月11日ということで、本作が製作されていたときにはまだ御存命だった訳であり、おそらくアステアとも親交があったのだろうと想像すると、ちょっと感動してしまいます。