ダニー・ケイの天国と地獄

1945年作品
監督 ブルース・ハンバーストン 出演 ダニー・ケイ、ヴァージニア・メイヨ
(あらすじ)
寄席芸人のバズィ・ブルー(ダニー・ケイ)は、ギャングの起こした殺人事件を目撃したことから、口封じのために殺害され、遺体は公園の池に投げ込まれてしまう。一方、彼の双子の弟であるエドウィン・ディングル(ダニー・ケイの2役)は、図書館員のエレン(ヴァージニア・メイヨ)とのデート中、不思議な音楽に導かれ、いつしかその公園の池へとたどり着く….


ダニー・ケイが、デビュー作「ダニー・ケイの新兵さん(1944年)」の翌年に主演した作品。

エドウィンは、バズィの幽霊から彼になりすまして殺人事件の証言を行うよう頼まれるんだけど、彼は本の虫と呼ばれる程の真面目一方な型物であり、人気芸人のバズィになりすますなんてことは到底無理。しかも、バズィは殺される直前に同じ芸人仲間のミッジと結婚式を挙げる約束をしていたため、彼女まで巻き込んだドタバタ劇が繰り広げられる。

ダニー・ケイは、寄席芸人のバズィと型物のエドウィンの二役に扮し、ほとんど出ずっぱりの大熱演。いつものことながら数々の多彩な芸を披露してくれており、それはそれなりに面白い。しかし、その芸がストーリーと上手くリンクしているかというと、(これもいつものことながら)やっぱり芸のほうが優先でストーリーは二の次っていう感じなのがちょっと残念なところ。

相手役のヴァージニア・メイヨは何とも色っぽい図書館職員に扮しているが、出番が少ないこともあって、彼女の魅力が十分に発揮されているとは言い難い。その代りといった感じで、ミッジ役に扮したヴェラ・エレンがソロで素晴らしいダンスを見せてくれ、これは一見の価値がある。彼女は本作が映画デビュー作になるらしく、まだちょっと洗練されていないところも見受けられるが、逆にそんなところがとてもキュートです。

ということで、ファンの一人としては未見のダニー・ケイ作品が見られただけで十分満足ではあるが、作品の出来としては水準作といったところかなあ。監督としても、彼のような個性の強いタレントを使いこなすのはなかなか難しいことなんだろうね。