スーパー!

2010年作品
監督 ジェームズ・ガン 出演 レイン・ウィルソンエレン・ペイジ
(あらすじ)
冴えない中年男フランク(レイン・ウィルソン)の唯一の心の拠り所は、ひょんなことから結ばれた美人妻のサラ。しかし、麻薬中毒の前科のある彼女は、ある日、彼を捨ててドラッグディーラーのジョックのもとへと去ってしまい、彼女を取り戻そうとしたフランクはジョックの手下に袋叩きにされてしまう。そんな時、失意のフランクの前に神の啓示が現れ、お手製のコスチュームを身に付けた彼はスーパーヒーローへと変身する….


冴えない中年男とイカレた女の子がコンビを組んで活躍(?)するブラック・コメディ。

“クリムゾンボルト”というのがフランクの変身するヒーローの名前なのだが、当然、特別な能力がある訳ではなく、工具用のレンチでもって無防備な“敵”を殴りつけるだけ。警察やマスコミからは通り魔扱いされるものの、オタクショップの店員リビー(エレン・ペイジ)だけはそんな彼の活躍に魅了されてしまい、サイドキックの“ポルティー”としてコンビを組むことになる。

平凡な主人公がスーパーヒーローに変身するという点では、以前見た「キック・アス(2010年)」に良く似た設定なのだが、あくまで本作のメインストーリーは、再び麻薬の虜になってしまった愛妻をなんとか救い出そうと奮闘する一人の男の姿を描くことであり、内容自体は決して軽いものではない。

そして、そんなちょっと重苦しい雰囲気を吹き飛ばすために登場するのがエレン・ペイジ扮するリビーなのだが、実は彼女の方がフランク以上に病んでおり、その可愛らしい外見からは想像できないような狂躁的な言動を繰り返す。“最期”は意外にあっさりしているものの、結局、それがフランクの狂気を暴走させる引き金になってしまう。

まあ、そんな訳で、通常のヒーロー物のような爽快感は極めて乏しく、むしろ内向的で陰鬱なイメージの方が強いくらいなのだが、そんなところが本作の低予算映画的な雰囲気に妙にマッチしているのがとても面白い。リヴ・タイラーケヴィン・ベーコンは、一体いくらくらいのギャラで出演をOKしたのだろうか。

ということで、エレン・ペイジの出演作を見るのはこれが5作目であるが、作品ごとにいつも意外な魅力(?)を見せてくれるのはなかなか大したもの。今後、どんな女優さんに成長していくのかとても楽しみです。