リオ・グランデの砦

1950年作品
監督 ジョン・フォード 出演 ジョン・ウェインモーリン・オハラ
(あらすじ)
リオ・グランデ砦の指揮官であるカービー・ヨーク中佐(ジョン・ウェイン)は、メキシコとの国境を越えて襲ってくるインディアンとの激しい戦闘に明け暮れる毎日。そんな彼のもとに士官学校を退学になった一人息子のジェフが一兵卒として配属されるが、その彼を家に連れ戻そうとして15年間別居中だった妻のキャサリンモーリン・オハラ)までもが砦へとやってくる….


ジョン・フォードの騎兵隊三部作の最終作であり、こちらも名コンビであるジョン・ウェインモーリン・オハラの初共演作品。

今回久しぶりに見返した訳であるが、アクション・シーンが意外に多かったことにちょっと驚いた。裏を返せば、それだけヨーク夫妻とその一人息子によるホームドラマ部分の印象のほうが強く記憶に残っていたということであり、そのへんが凡百の西部劇とフォード作品との差ということになるんだろう。

まあ、彼らの夫婦関係を真に理解するためには、アメリカ人にとっての“南北戦争の後遺症”とか“アイルランドに対する郷愁”みたいなものに対する基礎知識が必要になる訳で、この点では我ら日本人にはちょっと辛いところもあるんだけれど、そんな不利な状況下でも十分に感動できます。

ジョン・ウェインは相変わらず存在感のあるところを見せてくれるが、今回、特に感心したのは妻と母親という二つの顔の使い分けを要求されるモーリン・オハラの演技のほうで、ジェフの前ではちゃんと母親の顔になるあたりはお見事です。それと、今回初めて気が付いたんだけど、そのジェフ役に扮するクロード・ジャーマンJr.って「仔鹿物語(1946年)」に出ていたあの子役だったんだね。

ということで、ヴィクター・マクラグレン、ベン・ジョンソン、ハリー・ケイリーJr.といった面々は相変わらず良い味を出しており、久しぶりにフォード製の西部劇を堪能させていただいた。なかでもベン・ジョンソンが馬にまたがって大平原を駆け抜けるシーンは何度見ても素晴らしく、演技のほうはまるっきり大根なんだけど、この乗馬シーンだけで十分に元を取ってしまうというのはある意味凄い俳優さんです。