モーガンズ・クリークの奇跡

1944年作品
監督 プレストン・スタージェス 出演 ベティ・ハットン、エディ・ブラッケン
(あらすじ)
頑固な父親に内緒で兵士たちの出征パーティに出かけたトルーディ(ベティ・ハットン)は、酔った勢いで見知らぬ兵隊と結婚するが、酔いから醒めてみると相手の顔や名前も思い出せない始末。しかも、後日、彼女が妊娠していることが判明し、妹の勧めもあって彼女に首ったけの幼馴染みナーバン(エディ・ブラッケン)を“父親”に仕立て上げようとするが….


引き続きプレストン・スタージェスの作品を鑑賞。

ナーバンの一途な気持ちに気付いたトルーディは、彼を本心から愛するようになり、すべてを告白。彼はトルーディと正式に結婚するために一計を案じるが、それが裏目に出て警察から追われる身になってしまう。そんなとき、ある奇跡が起き、窮地に陥った彼等を救うことになる・・・

まあ、この“奇跡”がこれほどもてはやされるのは、戦時中という当時の特殊事情があるからなんだろうけど、この点を除いても今でも十分に面白い。そういえば、主役のベティ・ハットンを「アニーよ銃をとれ(1950年)」以外で見るのはこれが初めてであるが、歌抜きでもこんなにいい役者さんだったんだなあと感心してしまった。

相手役のエディ・ブラッケンは、ネットで調べたところ俺が見たことのある出演作は「サマー・ストック(1950年)」くらいだけど、残念ながら彼のことはあまり印象に残っていない。まあ、彼もなかなか頑張ってはいたが、それ以上にこの作品の出来に貢献しているのはトルーディの父親と妹に扮するウィリアム・デマレストとダイアナ・リンの二人の方だろう。

ウィリアム・デマレストはスタージェス作品の常連であるが、こんなに面白かったのは「レディ・イヴ(1941年)」以来。独特の声とニコリともしない演技で大いに笑わせてくれる。一方のダイアナ・リンは、ワイルダーの「少佐と少女 (1942年)」にも出ていたけれど、本作ではこの手の“こまっしゃくれた妹”役のお手本と言っても良いほどのハマリ役だった。

ということで、ラストの“奇跡”がちょっと期待ハズレではあるが、俺がこれまでに見たスタージェス作品としては「レディ・イヴ」に次ぐ面白さ。不勉強のせいか、これまであまりこの作品の評判を聞いたことは無かったが、彼の代表作の一つとしてもっと評価されてよい作品だと思う。