L change the WorLd

映画「デスノート」で松山ケンイチというより、彼の演じるキャラクターLの大ファンになった娘のリクエストで、「L change the WorLd」を見に行ってきた。

デスノート The Last Name」で宿敵夜神月の裏をかくため、自らの寿命を犠牲にした名探偵L。そんな彼に残された“23日間”の間に起きた新たな事件の顛末を描いている訳であるが、今度の事件は「デスノート」とは全く無関係な、その意味では普通の事件なんだよね。

一つ間違えば人類の滅亡にもつながる訳だからそりゃあ大事件には違いないんだろうけど、意外なことに犯人側が極めて小規模(総勢5人?)ということもあって、見ている間中“Lの人脈をもってすれば何も彼自身がお出ましにならなくても割と簡単に解決できるんじゃないのかなあ”って気がして仕方がなかった。ラストにしたって、あんな離れ業を演じて見せるより、普通に管制塔に連絡して警官や医師をジェット機に送り込むほうがいつもの彼らしい。

要するに脚本が全然ダメな訳で、第一、普通の脚本家だったら事件解決に要するタイムリミットを23日間ぎりぎりのところに設定しておき、途中に予期しないアクシデントなんかを挟んで“事件解決までにLの生命が持つのか?!”っていうあたりで緊迫感を煽ることをまず考えると思うんだけど、何故か本作ではそんな気配すらなくて、彼の貴重な一日一日がダラダラと過ぎて行く。

まあ、本作の脚本家は有能すぎて、そんなハリウッド映画みたいなベタな展開にすることは彼のプライドが許さなかったのかもしれないし、もしかするととても優しい人柄の故、Lの残された日々を少女との楽しい思い出で満たしてあげたかっただけなのかもしれないけどね。

そんな中身の薄〜い脚本を無理やり2時間に引き延ばそうとしたためか、演出の方も驚くほどテンポが悪く、あちらこちらに無駄なシーンが満載。出演者の方も、まあ、南チャンのことは置いておくとしても、工藤夕貴はとても天才的な科学者には見えないし、高嶋政伸に至ってはほとんど何もやってなかったんじゃないかなあ。

ということで、そんな悲惨な状況の中、唯一、松山ケンイチが一生懸命Lの役作りに励んでいる姿が見る者の涙を誘います。出演作品は多いものの、いまひとつ印象が薄い感のある彼にとって、唯一の当たり役の最期がこんな有様というのはさぞかし無念だったとは思うけど、娘ともども応援していますのでこれからも頑張ってください。