結婚五年目

1942年作品
監督 プレストン・スタージェス 出演 クローデット・コルベール、ジョエル・マクリー
(あらすじ)
ジェリー(クローデット・コルベール)は、5年前に愛するトム・ジェファーズ(ジョエル・マクリー)と結婚。彼を愛する気持ちには変わりはないが、真面目すぎる性格が災いしてか彼の事業は一向に上手くいかず、アパートの家賃さえ支払えない始末。このままではいけないと思い立ったジェリーは離婚を決意し、一人フロリダへ向かう….


プレストン・スタージェスが「レディ・イヴ(1941年)」の翌年に公開した作品。

タイトルバックでトムとジェリー(!)の結婚式当日のドタバタが紹介されるという凝ったオープニングで始まるんだけど、これがなかなか面白そう。最初、そういった内容の独立した作品があって、本作はその続編なのかと思ってしまったが、どうもそういう訳ではなく、単に上映時間の都合かなんかでカットされた部分をタイトルバックに使用したものと思われる。

ほとんど無一文状態で家を飛び出したジェリーは、持ち前の美貌を駆使してフロリダ行きの急行列車に潜り込むことに成功。そこで独身の大富豪J・D・ハッケンサッカー3世と知り合いになり、彼のお屋敷があるパーム・ビーチで、彼女ら二人にジェリーを追いかけてきたトムとハッケンサッカーの姉が加わった四角関係が展開する・・・

お目当てのクローデット・コルベールは例によってモテまくり状態で、周囲の男たちから次々と救いの手が差し伸べられるんだけど、このへんが全くイヤミにならないところが彼女の凄いところ。そんなことで、まあ、そこそこ面白いんだけど、傑作「レディ・イヴ」に比べると相当見劣りするのはやむを得ないところなのかなあ。

その直接の原因は明らかに相手役のジョエル・マクリーの力量不足な訳だけど、それだけではなく、スタージェス自身による脚本が十分整理されていないのも大きく影響していると思う。ラストにおける急転直下型ハッピーエンドに関し、その“伏線”が全くないのはやっぱりマズイと思う(=おそらく、カットされた冒頭の結婚式当日のエピソードのなかにその説明があったんじゃないかな。)し、列車の中で大暴れしてくれるカモ撃ち(?)の団体客もあれっきりで使い捨てというのはちょっともったいない。

ということで、「或る夜の出来事(1934年)」や「青髭8人目の妻(1938年)」のような傑作とは言えないけれど、クローデット・コルベールのお姿がじっくりと拝見出来るだけでも貴重な作品。彼女の場合、基本がコメディエンヌということもあってか、出演作品は多いんだけど、我が国ではあまりDVD化されていないんだよね。