茄子 スーツケースの渡り鳥

2007年作品
監督 高坂希太郎
(あらすじ)
ペペやチョッチを擁する自転車チームパオパオは、「ジャパンカップサイクルロードレース」に出場するため日本にやってくる。元気一杯のペペに対し、チョッチは同郷の先輩だったマルコの死により、レーサーとしての過酷な生活を続けることに疑問を抱いており、レース前夜、ペペに引退の意思を告げる....


去年の秋、妻と一緒に宇都宮市森林公園へ見に行った「ジャパンカップ」がテーマのアニメ作品。

この作品の公式ホームページによると、ジャパンカップは「参加選手の実力やレースの難易度、格式などからアジア最高峰のレースに位置付けられ、ツール・ド・フランスなど海外のメジャーレースに出場する選手が日本を走る唯一の大会」なんだそうである。ふーん、知らなかったなあ。

実は、この作品には「茄子 アンダルシアの夏(2003年)」という前編があるそうで、そっちを見ていない観客にはマルコやザンコーニといったいわくありげな登場人物がどんな過去を背負った人間なのかまったくわからない。まあ、“詳しくは前作をご覧ください”ということなんだろうけど、ちょっと不親切だよね。

しかし、いざレースが始まるとこれが結構盛り上がる。レースコースのあちこちに見覚えのある場所が登場するという特殊事情もあるのかもしれないが、アップダウンのきついコースを選手たちが疾走していくシーンはなかなか爽快で、最後まで見ていて飽きません。ラストは“お約束”なのかもしれないけど、俺は(それが上手に使われている限り)こういうベタな展開は決して嫌いではない。

脚本とキャラクターデザインも兼ねる監督の高坂希太郎は、スタジオジブリの作品にも大きくかかわっている人なんだそうで、そういえばペペとチョッチの御面相は「カリオストロの城(1979年)」に出ていた頃のルパンと次元にソックリ。いっそのこと、五ェ門や不二子も出してくれればいいのにね。

ということで、(特に前半には)不満もあるけれど見終わった後の印象はなかなか良好で、今年の秋の「ジャパンカップ」が待ち遠しくなりました。機会があれば前作も見てみようと思います。