にがい米

1949年作品
監督 ジュゼッペ・デ・サンティス 出演 ドリス・ダウリング、シルヴァーナ・マンガーノ
(あらすじ)
フランチェスカ(ドリス・ダウリング)は、駅で待ち合わせていた恋人から盗品の宝石を預けられ、追ってきた警察から身を隠すために一人で列車に乗り込む。その列車は田植えのために北イタリアの水田地帯へ出稼ぎに行く女性たちを乗せた専用列車で、車内で声をかけてきたシルヴァーナ(シルヴァーナ・マンガーノ)の口利きにより、フランチェスカもみんなと一緒に雇ってもらえることになったが….


有名な作品であり、名前は知っていたけれど多分見るのは今回が初めて。

ドキュメンタリーみたいなアナウンサーの解説から始まるんで、最初、農村での過酷な労働に耐える女性たちの姿を描いたプロレタリアート作品なのかなって思いながら見ていたんだけど、実際のところは4人の男女をめぐる恋愛事情のほうにウエイトが置かれた作品だった。

始めの方では北イタリアの田植え風景なんかも描かれているんだけど、これが田植え唄(?)を歌いながらの作業で(歌詞の内容はともかく)ちょっと楽しそう。後半、長雨の影響でもらえる米が減らされる心配から、雨の中で草取り作業に従事するっていうエピソードも出てくるんだけど、全体的にあまり悲惨な印象はない。

まあ、その原因の一つは主演のシルヴァーナ・マンガーノの存在にある訳で、日夜農作業に従事し、シャワーも無いような環境で生活しているにもかかわらず、肌はピカピカ、髪はサラサラでまるでハリウッド女優みたい。そんな訳で、リアリズムという意味では彼女の存在はマイナス要素なんだろうが、そのはちきれんばかりの美貌はそれを補って余りある魅力をこの作品に与えているところであり、彼女の起用は結果的に大正解だろう。

そんな彼女を中心に、フランチェスカとその恋人のワルター、シルヴァーナに思いを寄せるマルコの4人が主要な登場人物になり、最終的には悪役のワルターと彼の頼みで仲間を裏切るシルヴァーナの二人が死に、フランチェスカと真面目なマルコが結ばれるような形で物語は終わる。まあ、正義は勝つ! みたいな結末ではあるが、シルヴァーナがみんなから愛されていたことを無言のうちに示すラストシーンは、ちょっと感動的でした。

ということで、なんといってもシルヴァーナ・マンガーノと彼女の魅力を十分に伝えてくれる巧みなカメラワークがこの作品のみどころ。それにしても、古くはクラウディア・カルディナーレやシルヴァ・コシナから最近のモニカ・ベルッチに至るまで、本当にイタリアには魅力的な美人が多いなあ。先日の旅行では遺跡に気を取られていて全然気付かなかったけど・・・