ラヴクラフト 恐怖の宇宙史

SFファンの端くれとして、俺もクトゥルフ神話には人並み以上の興味があり、ラヴクラフトの作品もこれまでいくつか読んできた。しかし、残念ながら彼の作品との相性はいま一つで、正直、これまで彼の作品集で最後まで読み通したものは皆無という状況。数年前にこの作品集が出版されたときも何度目かのチャレンジということで購入した訳だが、やっぱり途中で挫折し、そのまんま本棚に放り込んでおいた。

で、今回、他に逃げ場のない飛行機の中でなら・・・という思いでイタリア旅行に持参してみた。予想に反し、飛行機の中は映画見放題のため思ったより読書に時間が割けなかったんだけど、せっかくの機会ということで帰ってきてからも断続的に読み続け、このたびやっと読了。

昔読んだ記憶のある作品も含め長短12の作品が収められており、「銀の鍵の門を越えて」なんかは結構面白かったけど、やっぱり彼の装飾過剰な文章はとても読みづらいなあ。荒俣宏なので、あながち翻訳者の責任という訳でもないんだろうし、事実、この作品集に入っているコリン・ウィルソンの短編のほうはずーっと読み易かった。

ということで、個々の作品のアイディア自体は凄いと思うのでとても残念な結果。でも、これでは読みやすいライトノベルに慣れた今の若者には受け入れてもらえないだろうし、俺にしてもラヴクラフトの作品を読むのはおそらくこれが最後でしょう。願わくば、スティーヴン・キングあたりに「狂気の山にて」をリライトして頂けないもんかね。