青髭8人目の妻

1938年作品
監督 エルンスト・ルビッチ 出演 クローデット・コルベールゲイリー・クーパー
(あらすじ)
アメリカ人の大富豪マイケル・ブランドン(ゲイリー・クーパー)は、滞在先のリヴィエラの某デパートで貧乏貴族の一人娘ニコル(クローデット・コルベール)に出会い、一目惚れ。何とか結婚の同意を取り付けるが、結婚式の直前、彼がこれまでに7回にわたり結婚と離婚を繰り返していたことが発覚し、動揺したニコルは、結婚に際し、マイケルにある条件を提示する….


昨日の「教授と美女(1941年)」に引き続き、チャールズ・ブラケットビリー・ワイルダーの名コンビによる作品を鑑賞。監督は、そんなワイルダーの師匠筋にあたるエルンスト・ルビッチです。

青髭といっても、別にブランドンが殺人鬼という訳ではなく、大富豪であるが故に女性に対して少々傲慢なところがあるという設定。そんな彼がデパートでのショッピング中にニコルと出会うんだけど、知り合うきっかけとなるエピソードが如何にもワイルダーらしく、思わず笑ってしまいました。

で、結婚に際してニコルの出した条件というのが、もし離婚したらブランドンが毎年10万ドルを彼女に支払うというもの。まんまとこの条件を承諾させた彼女は、新婚旅行中から彼をいいようにあしらって近づけようとせず、新居でも二人は家庭内別居状態。そのうえ、浮気の現場をわざとブランドンに見せつけようとするニコルの仕打ちに絶望した彼は、遂に離婚を決意し、ニコルは多額の慰謝料を手に入れる….。

まあ、コメディなんでこのまま終わる筈はなく、最終的には、すべてはブランドンの傲慢さにお灸をすえるためにニコルが仕組んだ筋書きであることが判明し、ハッピーエンドで終わるんだが、いやー、ニコルに扮するクローデット・コルベールの達者なことには驚いた。

彼女の一時代前っていう感じの化粧の仕方もあって、名作「或る夜の出来事(1934年)」に出ていたときは、正直、イマイチ好きになれなかったんだけど、本作を見て完全に見直しました。キスしようとして迫ってくるブランドンから逃れるため、彼の嫌いなラッキョウを生齧りするところなんかは、もう最高です!

ルビッチの監督作品としても、今まで見た中ではこれが一番面白い。昨日、「教授と美女」を傑作と書いてしまったが、それに比べても全く遜色のない傑作コメディでした。おそるべし>ハリウッド映画!