モンスター・ハウス

不作だったお正月映画もほぼ上演終了となったのだが、残念ながら新作のほうでも家族全員が“見たい!”と思うような映画がなかなか見つからない。そんな中、“まあこれなら”ということで家族の賛同を取り付け、スピルバーグ&ゼメキスが製作総指揮を務めたという「モンスター・ハウス」を見てきた。

ということで、あまり期待しないで見に行ったのだが、期待に違わず(?)内容もまあまあの出来であった。

「カーズ」と同様にフルCGのアニメなのだが、こちらはピクサーと違ってより“リアル”に拘っているようであり、CGでは肌のシミやソバカスまで見事に描かれているし、登場人物の表情やリアクションもアニメというより実写に近い。そのへん、とても良くできていて感心はするのだが、反面、キャラが可愛くなくて感情移入がちと難しい。

ハロウィーンを舞台にしているし、メインの登場人物の設定も小学生高学年くらいということで、子ども向けなのは間違いないんだろうが、それにしてはストーリーがやや陰鬱であり、冒険物に付きもののワクワク感を出そうとする姿勢もみられない。だいたい物語のカギになるべきお化け屋敷の秘密が“親爺のデブ専趣味”というのはいかがなものか。

最後の方で、お化け屋敷が動き出して大暴れするのだが、「ハウルの動く城」の質感ある描写には遠く及びません。スピルバーグ&ゼメキスといえばもっと商売上手という印象があったのだが、ちょっとこれはハズしたね。興行側が正月映画にしなかったのもやむを得ないところでしょう。

まあ、人によって考えは色々なんだろうが、俺はCGアニメはあまりリアルに拘らない方が良いと思っている。確かに、将来、実写と見分けが付かないレベルまで人物描写の技術が向上する可能性もあるのだろうが、そうなった場合、おそらくアニメ的な表現にもそぐわなくなるだろうし、それは最早アニメとは呼べないのではなかろうか。