タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密

2011年作品
監督 スティーヴン・スピルバーグ
(あらすじ)
少年レポーターのタンタンは、ある日、町の露天商から美しい帆船の模型を手に入れる。それは17世紀に忽然と姿を消したといわれる伝説の軍艦ユニコーン号の模型だったが、それ以来、彼の周囲では謎の男サッカリンをはじめとする不審な男たちが出没するようになり、疑問を抱いた彼が図書館でユニコーン号について調べている隙に、何者かの手によってその模型を盗まれてしまう….


スティーヴン・スピルバーグが初めて挑戦したCGアニメ。

その模型は、ユニコーン号の船長であり、最後の航海からのただ一人の生還者であったアドック卿が、自分の3人の息子のために作らせた3艘の模型のうちの1つであり、各模型のマストにはユニコーン号の秘密を明らかにする羊皮紙のメモが隠されている。

まあ、ここまで事実関係が判明してしまえば、あとはもう簡単。その三枚のメモを巡って、タンタンとその愛犬スノーウィ、アドック卿の子孫でアル中のハドック船長、そしてサッカリン一味による、追いつ追われつの一大争奪戦が繰り広げられる訳であるが、CGアニメという手法を採用したことによって、それまでの様々な制約から解放されたスピルバーグは、この争奪戦の描写において数々の卓越したアイデアを披露してくれる。

特に、終盤のクライマックスになる巨大なクレーン同士によるバトルは、今まで見たこともない情景であり、見ていて思わず感心してしまった程なのだが、その一方で、このシーンはCGアニメの限界、弱点といったものを少なからず露呈してしまっているような気もする。

勿論、本作に注ぎ込まれたCG技術は世界最高水準のものであり、タンタンをはじめとする登場人物の描写も、顔の表情を除けば、ほとんど実写と見紛うばかりの水準に達している訳であるが、俺の老朽化した脳ミソは、彼等を“架空の人物=死とは無関係”としてしか認識してくれず、そのため、彼等がどんなに“危険”なアクションに挑戦したとしても、ハラハラ感はいっこうに伝わってこない。

ということで、仮に本作を実写で映画化してくれていたら、(内容的に少々パワーダウンしたとしても)個人的に大満足の作品になっていたのは間違いないと思う。ただし、この作品は、本来、映画館で3Dメガネをかけながら見るべきものなのかもしれず、そうしていたら全く別の感想を持った可能性も否定できません。