皇帝円舞曲

1947年作品
監督 ビリー・ワイルダー 出演 ビング・クロスビー、ジョーン・フォンテーン
(あらすじ)
蓄音機のセールスのためにオーストリアへやってきたアメリカ人のヴァージル・スミス(ビング・クロスビー)は、お互いの飼い犬の取り持つ縁で伯爵令嬢のジョハンナ(ジョーン・フォンテーン)と恋に落ちる。しかし、身分の違う者同士の結婚の行く末の哀れさを皇帝に諭されたウァージルは、自らの気持ちを偽ってジョハンナのもとを去ろうとする….


ブラケット&ワイルダーの名コンビによるミュージカル仕立てコメディ。
ワイルダー作品としてはストーリーは案外単純だし、オチも途中で察しが付いてしまうため、あまり世評は高くないらしい。しかし、アメリカ人の持つヨーロッパの貴族社会に対するアンビヴァレンツな感情がユーモラスに描かれており、そのうえ、ビング・クロスビーの歌まで聴けるのだから、あまり我が儘を言ってはバチが当たる。

また、登場人物の人物設定がしっかりしており、皇帝、伯爵、獣医などの脇役もそれぞれに魅力的で、十分に楽しめる作品になっていると思う。特に、皇帝がヴァージルに「口ひげも剃れない」と愚痴るあたりのやりとりの面白さは、さすがワイルダーってところだろう。

ところで、この頃のクロスビーとかアステアって、アメリカ人の目にはどう映ったんだろうね? 俺にはどうしたって二枚目には見えんのだが、あの手の顔が好かれたのか、それとも歌や踊りが上手ければ顔は二の次ってことなのか、どっちなんだろう。