ザ・コミットメンツ

1991年
監督 アラン・パーカー 出演 ロバート・アーキンズ、ジョニー・マーフィ
(あらすじ)
アイルランドの首都ダブリンで本格的なソウル・バンドの結成を思い立ったジミー(ロバート・アーキンズ)は、さっそく新聞に広告を載せてメンバー募集に取り掛かる。しかし、集まってきたのは期待外れの連中ばかりであり、特に肝心のリード・ヴォーカルにめぼしい人材が見当たらない。ようやくデコという新人ヴォーカリストを探し出すが、その歌唱力とは裏腹に人間性は最低な奴だった…


7月31日に76歳で亡くなったアラン・パーカーが47歳のときに発表した音楽映画。

お気に入りの監督の一人である彼の訃報を耳にしてU-NEXTのラインアップを確認してみたのだが、未見の作品は「バーディ(1984年)」だけであり、それを選ぼうとしたときに何故か手元が狂ってしまい(?)、何度も見たことのある本作を選択。しかし、面白い映画は何度見ても良いものであり、しっかり最後まで楽しませてもらった。

さて、何と言っても本作の最大の魅力は取り上げられているソウル・ミュージック(=個人的にはR&Bと呼んだ方がしっくりくる曲がほとんどなのだが。)の数々であり、おそらくアラン・パーカーの音楽的センスの良さが反映されているのだろうが、Wilson PickettからOtis Reddingまで、とにかく選曲が最高に格好いい。

そして、ジミー君の“アイルランド人はヨーロッパ人の中の黒人だ。ダブリンっ子は黒人の中の黒人だと胸を張って言え”っていう名セリフのとおり、それらの名曲を本家に臆することなく堂々と演奏してくれる訳であり、Al Greenの“Take Me to the River”やOtisの“Try a Little Tenderness”等における完成度の高さはいつ聞いても最高に素晴らしい。

以前、ほとんどのメンバーが素人同然だったという話を耳にしたことがあるが、どんな秘密があるにせよ(?)、こんなにライブ感に溢れる素晴らしいパフォーマンスを映像に収めてしまったのは正に驚異的。確かにデコ役のアンドリュー・ストロングの歌唱には荒削りなところが目立つものの、それを“新鮮さ”という魅力に変えてしまうあたりは流石としか言いようがない。

ということで、「ウッドストック(1970年)」から「ローリング・サンダー・レヴュー(2019年)」に至るまで、Rock関係の映画化ではマーティン・スコセッシの活躍が目立つが、正直、個人的には不満に感じる点も少なくないところであり、もし、これらの作品をアラン・パーカーが手掛けてくれていたら、と思ってしまうのは男心の未練なのでしょうか。