ピッチ・パーフェクト ラストステージ

2017年
監督 トリッシュ・シー 出演 アナ・ケンドリックレベル・ウィルソン
(あらすじ)
バーデン大学を卒業し、念願の音楽プロデューサーになったベッカ(アナ・ケンドリック)だったが、なかなか自分のやりたいような仕事はさせてもらえず、カッとなって職場を飛び出してしまう。久しぶりに再会したベラーズの元メンバーたちもかつての栄光が忘れられない様子であり、そんな彼女らにベラーズを再結成してUSO(米軍慰問団)の海外ツアーに参加するという話が持ち上がる…


ピッチ・パーフェクト2(2015年)」に続く人気シリーズの第3作目。

USO(米軍慰問団)の海外ツアーにはベラーズ以外にも数組のバンドが出演しており、そこでのパフォーマンスが人気DJキャレドに認められれば、彼のステージで前座を務めることが出来るらしい。この“前座に選ばれるか否か”っていうところが前2作における“コンテストでの優勝争い”の代わりになっているのだが、当然、トーナメント形式で争う訳ではないので前2作のような緊張感は、正直、あまり伝わってこない。

しかも、当然、他のバンドは楽器をはじめとする様々な機材を使用している故、そのサウンドは重厚かつ多彩であり、アカペラ一本のベラーズにとっては不利な戦いにならざるを得ない。困ったベッカは自分たちも楽器を使おうと言い出すのだが、う~ん、それってベラーズ自体の全否定に繋がってしまうんじゃないのかなあ。

まあ、そんな訳もあって前2作に比べると“音楽”の比重は少なくなっており、それを補うべく挿入されているのが太っちょエイミー(レベル・ウィルソン)の父親に関するエピソード。彼は国際指名手配されている悪党であり、エイミーの母親が遺した大金を横取りするためにベラーズのメンバーたちを誘拐してしまうのだが、彼女とベッカの活躍によって無事救出に成功する。

しかし、本シリーズのファンが見たいのはそんな中途半端なアクションシーンでなく、あくまでも楽しくて華やかな音楽パフォーマンスであることは言うまでも無い。正直、こんな水増し的エピソードに頼らなければ一本の映画が作れないというのは悲しいことであり、残念ながら人気シリーズの掉尾を飾るという訳にはいかなかったようである。

ということで、結局、DJキャレドの前座に選ばれたのはベラーズではなく、ベッカ個人という結末は、先日拝見した「ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール(2014年)」のラストに似かよっているのだが、こっちはベッカのステージ上にベラーズのメンバー全員を引っ張り上げての大団円。まあ、このへんの“あざとさ”がハリウッド映画らしいところなのでありましょう。