博士と彼女のセオリー

2014年
監督 ジェームズ・マーシュ 出演 エディ・レッドメインフェリシティ・ジョーンズ
(あらすじ)
名門ケンブリッジ大学の大学院で理論物理学を研究していたスティーヴン・ホーキングエディ・レッドメイン)は、パーティで知り合った文学部の学生ジェーン(フェリシティ・ジョーンズ)と恋に落ちる。その後、彼はALSを発症し、医師から余命2年と宣告されてしまうが、ジェーンは周囲の反対に怯むことなくスティーヴンとの結婚を選択。2年後には長男ロバートも生まれるのだが…


エディ・レッドメインアカデミー賞主演男優賞に輝いたスティーヴン・ホーキングの伝記映画。

ホーキングといえばブラックホールは外せないということで、本作中にも彼がホーキング放射の存在を発表するシーンなんかが出てくるのだが、メインテーマになるのは理論物理学ではなく、彼とその妻ジェーンとの夫婦関係の方。正直、前者を期待していた人(=俺を含む。)には相当物足りないが、まあ、ホーキングの人となりを知ることも決して無駄ことではないだろう。

さて、余命2年のつもりで結婚したら、20年以上経ってもまだまだ(いろんな意味で)お盛んなんだから、まあ、お互い“こんなハズでは”と戸惑う事情も少なからずあったハズ。当然、予想されるのは妻の浮気だろうが、博士もなかなかのものであり、随意筋は衰えてもあちらの方は別の仕組みでしっかり機能しているらしい。

結局、結婚26年目にして二人は離婚してしまうのだが、その原因が博士の新しい恋人エレインの登場にあるのか、または博士が妻の恋人ジョナサンに遠慮したせいなのかは明確にされておらず、どちらも悪者になっていないところが脚本の上手いところ。エンドクレジットを注意して見ていたら、奥さんのジェーンの書いた手記がベースになっていたんだね。

主演のエディ・レッドメインが演じるホーキング博士は本物そっくりであり、ALSの進行によって体の自由が利かなくなっていく様子を見事に再現している。一方のフェリシティ・ジョーンズも、初々しい女子大学生から倦怠期の中年女性まで器用に演じ分けており、この二人の自然な演技が本作の一番の見所になっている。

ということで、エディ・レッドメインが本作でアカデミー賞主演男優賞を獲ったときには少々早過ぎるのではないかと思ったが、その後もファンタスティック・ビースト・シリーズなど多彩な活躍を見せてくれており、将来がとても楽しみ。やや伸び悩みが見られるフェリシティ・ジョーンズにも頑張ってもらいたいところです。