ピーターラビット

2018年
監督 ウィル・グラック 出演 ローズ・バーン、ドーナル・グリーソン
(あらすじ)
イギリスの湖水地方に住んでいるウサギのピーターは、いとこのベンジャミンや三つ子の妹たちと一緒に楽しい共同生活。菜園を営むマグレガーおじさんとの仲は険悪だが、心優しい画家のビア(ローズ・バーン)はピーターの大親友であり、いつでもウサギたちの味方になってくれる。そんなある日、マグレガーおじさんが急死してしまい、大都会ロンドンから甥のトーマス(ドーナル・グリーソン)が引っ越してくることに…


ビアトリクス・ポターの絵本の主人公ピーターラビットを起用した初の実写映画。

続編も製作されたヒット作「パディントン(2014年)」の二匹目のドジョウを狙った企画だろうということで、劇場公開時はあまり気にも留めなかった作品なのだが、その後の評判を聞いていると絵本のイメージからは相当かけ離れた“過激”な内容らしい。まあ、外れだったとしても動物ものなら家族団らんの邪魔にはなるまいと思い、家族揃って鑑賞。

さて、評判どおりストーリーは相当ハチャメチャであり、最初に描かれるのは菜園の野菜を狙うピーターたちと宿敵マグレガーおじさんとの間で繰り広げられる“死闘”。実は、このマグレガーおじさん、ピーターたちの父親を捕まえてパイにして食べてしまったという危険人物であり、両者の闘いにおいて手加減は一切無用!

そんな因縁の相手が急死してしまい、ピーターたちは大喜びということになるのだが、間もなく甥のトーマスが引っ越してきて第2ラウンド開始。しかも、あろうことか、愛しのビアが彼に好意を抱き始めているらしいということで、因縁に三角関係の恨みが加わって戦闘はさらにヒートアップしていく!!

ひょっとすると絵本のピーターもかなりのイタズラ好きなのかもしれないが、まあ、少なくとも“殺人”まで企図するとは考えられず、原作ファンからの大ブーイングを予想してヒヤヒヤしながら見ていたのだが、最後は自分の行き過ぎを反省したピーターがビアとトーマスの仲を取り持つという心温まるエンディング。製作側のこういったしたたかさは決して嫌いではない。

ということで、評判どおりなかなか愉快なストーリーだったが、それ以上に驚いたのはピーターをはじめとする動物たちのグラフィックの素晴らしさであり、動物らしい姿や動きと擬人化されたコミカルな顔の表情とが見事に融合されている。もうここまで出来てしまえば動物映画において不可能なことは何もなく、これからもいろいろと楽しい作品を見せてもらえそうです。