裏切りのサーカス

2011年作品
監督 トーマス・アルフレッドソン 出演 ゲイリー・オールドマンコリン・ファース
(あらすじ)
東西冷戦時代のイギリス。諜報部“サーカス”のチーフであるコントロールは、5人の組織幹部の中にソ連の二重スパイ“モグラ”が潜り込んでいると確信。それに関する情報を得るため部下をハンガリーに送り込むが失敗し、腹心の部下であったスマイリー(ゲイリー・オールドマン)とともにサーカスを去る。しかし、モグラに関する新たな情報を入手した政府高官のレイコンは、秘密裏にスマイリーに再調査を命じる….


ジョン・ル・カレのスパイ小説「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」の映画化。

要するに、裏切り者を探すため、スパイがスパイ仲間をスパイするお話しであり、当然、大勢のスパイたちが登場して各自の仕事ぶりを披露してくれる。まあ、スマイリーのような幹部クラスになれば、政府上層部との折衝みたいな内部事務が主な仕事になる訳であるが、彼等の部下の方はなかなか大変そう。

スマイリーのご指名で彼の部下になるのはピーター・ギラムという中堅クラスのスパイであり、もっぱら危険を伴うミッションは彼の担当になるのだが、そんな彼に贈られるスマイリーからのアドバイスは“失敗しても助けないからな”的な趣旨の発言ばかり。

おそらく、若き日のスマイリーとコントロールとの関係もこんな具合であり、そこでお互いの信頼関係が育まれてきたのだろうと思って見ていたら、何と、コントロールはそんなスマイリーも裏切り者候補者の一人に含めていたことが判明してしまうのだから、まあ、スパイ稼業というものは何ともやるせない。

さらには、こんなに一生懸命仕事に励んでいるにもかかわらず、ソ連が本当に欲しかったのはアメリカに関する情報であり、イギリスは最初から相手にされていなかったことが判ってしまい、サーカスの面目丸潰れ。「ぼくのエリ 200歳の少女(2008年)」で注目を集めたトーマス・アルフレッドソン監督は、そんな切ないストーリーをお得意の寒々とした映像を駆使してスリリングに描いている。

ということで、登場人物がやたらに多い上、回想シーンが度々、しかもさりげなく挿入されるため、ストーリーを追うだけでもなかなか大変。続編が期待できそうな結末であるが、そのときには回想シーンとそれ以外とをもう少し簡単に区別できるようご配慮いただければ幸いです。