カメラを止めるな!

2018

監督 上田慎一郎 出演 濱津隆之真魚

(あらすじ)

ゾンビ映画の撮影のため、旧日本軍が死体を生き返らせる人体実験を行っていたという都市伝説のある廃墟でロケを行っていた撮影スタッフたち。そんなところへ、突然、本物のゾンビが現われたため全員パニック状態に陥るが、主演のアイドル女優のリアリティのない演技に不満を抱いていた監督の日暮(上田慎一郎)は、“カメラは止めない!”と叫んで強引に撮影を続行しようとする…

 

 

昨年、とても話題になった低予算のコメディ・ホラー映画。

 

多数決で「マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー2018年)」に敗れてしまい、映画館での鑑賞を見送った作品であるが、正月休みに訪れた近所のレンタル屋さんでも在庫ゼロのために見ることが出来なかった。今回、ようやくその機会を得ることが出来た訳であるが、ネタバレには注意してきたため、ストーリーに関してはほぼ予備知識なしの状態で鑑賞。

 

とはいっても、“何か大きなトリックが仕掛けられているらしい”ということだけは知っていたので、騙されないよう注意しながら見ていたのだが、正直、シナリオ、演出、撮影、演技はすべてボロボロであり、おバカ映画にもなり得ていないレベル。まあ、こういうのを面白がる人たちもいるのだろうが、それにしてもヒドいなあと思いながら見ていると、30分くらい経過したところで、突然、映画のエンドロールみたいなものが現われる。

 

一瞬、混乱してしまったが、要するにここまでのストーリーは、ネットTV用に37分間ワンカットで生放送された「ONE CUT OF DEAD」というゾンビ映画のものだったという設定であり、それに引き続き、当該作品の製作過程を一月前から克明に記録したメイキング映像みたいなモノが映し出される。

 

本作の見所はここからであり、最初のワンカット・ドラマで“キズ”と思われた箇所は、すべて“ワンカット生放送”という制作サイドからの無理な要求を実現するために払った現場スタッフの努力の結晶だったということが判明。成程、この手はまったく予想していなかった!

 

ということで、とても秀逸なアイデアに基づいた作品であり、娘と一緒に楽しく拝見させて頂いた訳であるが、この作品を数年後にもう一度見直してみたいかと問われれば、正直、首を傾げざるを得ないのも事実。やはり、本当に面白い作品を作るためにはアイデアだけではダメであり、もっとお金をかける必要があったと思います。