高慢と偏見とゾンビ

今日は、妻&娘と一緒にリリー・ジェームズ主演の「高慢と偏見とゾンビ」を見に行ってきた。

普通なら先週見逃したクリント・イーストウッド監督の「ハドソン川の奇跡」を見に行くところであるが、実話モノということで先が見えているような気がしてイマイチ食指が動かない。気まぐれに「高慢と偏見とゾンビ」を見たいか娘に尋ねてみたところ、二つ返事でOKが出たのであっさりこちらに乗り換える。

さて、例によってジェーン・オースティンの原作(?)は未読だが、キーラ・ナイトレイ主演の「プライドと偏見(2005年)」は全員鑑賞済みのため事前学習は不要。冒頭のいきなりのネタ明かしは不要だったと思うが、その後の展開は意外なほど原作に忠実であり、時折現れるゾンビがテーマに深く関わってくることはほとんど無い。

実は、ゾンビの存在を当時の階級社会や女性差別を揶揄するためのメタファーとして使用しているんじゃないかとちょっぴり期待していたのだが、脚本も担当しているバー・スティアーズ監督の狙いは“本格的コスチューム・プレイとゾンビ映画との落差で笑いを取る”という一点に絞られているらしく、風刺や社会批判的な要素はほとんど見られない。

事実、ベネット家の5人姉妹が居間で編み物の代わりに武器の手入れをしていたり、舞踏会用のドレスの下に短剣を忍ばせているところなんかはとても面白いのだが、おバカ映画に徹するのならもうちょっと大胆な発想の転換が必要であり、終盤は原作と離れてでも5人姉妹とゾンビとの壮絶な対決シーンを描くべきだったろう。

ということで、少々中途半端な印象の作品になってしまったが、主演のリリー・ジェームズは相変わらずとても魅力的であり、彼女版の「プライドと偏見」として十分に楽しめるところが大きな救い。先週からNHKで放送が始まった「戦争と平和」にも出演しており、これからどんなナターシャ役を見せてくれるのかとても楽しみです。