イエスタデイ

2019年
監督 ダニー・ボイル 出演 ヒメーシュ・パテル、リリー・ジェームズ 
(あらすじ)
売れないシンガーソングライターのジャック(ヒメーシュ・パテル)は、世界規模で発生した12秒間の停電の最中に運悪く交通事故に遭ってしまう。翌朝、病院のベッドの上で昏睡状態から目を覚ました彼は、お見舞いに来てくれた幼なじみのエリー(リリー・ジェームズ)から事故によって2本の前歯を失ったことを告げられるが、実は彼が失ったのはそれだけではなかった…


ビートルズの存在しない世界を描いてちょっと話題になったイギリス映画。

別にビートルズ・ファンという訳でもないし、本作も積極的に見てみようとは思っていなかったのだが、「ゆきゆきて、神軍(1987年)」を見た後のモヤモヤ感を払拭するのにはちょうどこれくらいがお手頃かと思って視聴開始。U-NEXTでは有料だが、アマプラでは無料配信されていた。

さて、誰もビートルズを知らない世界で目を覚ましたジャック君は、彼らのヒット曲の数々を自作の曲のような顔をして発表するのだが、意外なことに世間の反響はいま一つ。しかし、やはり分る人には分るようであり、歌手のエド・シーラン(=ご本人が演じている。)がコンサートの前座にジャックを抜擢したことで、ようやく人気に火が付くことになる。

正直、ここまではほぼ予想どおりの展開であり、おそらくラスト直前に2度目の停電が起きるのだろうと思って見ていたのだが、実際にはもっと今風の現実的なハッピーエンドが用意されており、これにはちょっと感心。ただし、あの後、ジャック君はレコード会社から莫大な損害賠償を請求されたのではなかろうか。

ちなみに、その世界にはオアシス、コカコーラ、ハリー・ポッターといったところも存在しないのだが、ローリング・ストーンズペプシ・コーラ(=要するに二番手?)は存在するというのが世界中のストーンズ・ファンにとっては少々イヤ味。しかし、ストーンズの曲が老若男女から支持されている世界には興味津々であり、今度はそっちの方に焦点を当てた作品を作ってみてはどうだろうか。

ということで、本作の最大の見所は幼なじみのエリー役で出ているリリー・ジェームズの可愛らしさであり、車の運転もできないジャック君のマネージャー兼運転手として、長年彼を支え続けたその健気さは天下一品。ただし、彼女の女優人生を考えれば、そろそろ代表作と言えるような大作への出演が望まれるところであり、今後の益々のご活躍を期待しております。