鳳凰三山

今日は、山梨県にある日本百名山の一つである鳳凰山を歩いてきた。

今年も北アルプスに行く機会を虎視眈々と窺っているのだが、天候が安定しないためなかなか実行に踏み切れない。この週末も、(平日である今日の天気は良さそうなのだが)明日の土曜日の予報は雨であり、これでは二泊三日の槍穂縦走はとても無理ということで目的地を変更。日帰りでも歩いてこられるという南アルプス鳳凰山に行くことにした。

さて、この山の最大の問題は駐車場のある青木鉱泉までの“悪路”であるが、ネットで調べたところ韮崎射撃場跡を経由する南ルートを利用すればほとんど舗装道路を通って行けることが判明。「帰ってきた・鉄道萌え系親爺ぃのレイアウト製作記」というブログの記事を参考にGoogleマップストリートビューで予行演習を行い、本日、午前5時過ぎに無事青木鉱泉の駐車場にたどり着く。

身支度を調えて5時38分に駐車場を出発し、青木鉱泉の建物(5時41分)の前に立っている“ドンドコ沢登山道”の標識に従って沢沿いの道を歩いて行く。途中、踏み跡を見つけにくい箇所もあるが、木の幹に付けられた赤ペンキをたどっていけば大丈夫。最初の徒渉地点(6時6分)には青木鉱泉の看板が付いており、その先には明瞭な登山道が続いている。

当初、時間節約のためにドンドコ沢名物の滝見物は割愛する予定だったが、何度か横切る枝沢の様子を見ていると、昨日までの降雨の影響で沢の水量は豊富のようであり、これなら見応えがあるだろうということで南精進ヶ滝分岐(6時54分)を直進。6時57分に滝展望台に着くが、う〜ん、確かに水量は多いものの、ただそれだけっていう感じかなあ。

それにもめげず、次の分岐(7時16分)も鳳凰の滝方面に進路を取るが、やや不明瞭なルートの先には2つ目の鳳凰の滝分岐(7時20分)の標識が立っており、これって一体どういう意味? 再び標識どおりに進んだものの、滝の音は聞こえてこないし、踏み跡は次第に心細くなってくるということで、ルートミスは明白。やむなく滝見物を諦め、薄い踏み跡をたどってメインルートに復帰したが、こんなことならGPSに滝の位置を記録してくるんだったなあ。

次の白糸の滝(8時00分)は分かりやすかったが、少々ガスがかかってしまったせいもあって見栄えはもう一つ。その後、8時17分に着いた分岐には五色の滝の方向を示す矢印が上下2枚付いており、再びイヤな予感がしてくるものの、幸い、滝の位置はメインルートからでも視認可能あり、滝壺付近(8時26分)まで下りていってじっくり鑑賞。ガスが晴れたこともあって、この五色の滝が一番美しく立派に見えた。

さて、滝見物を済ませてしまうと樹林帯の中の急登も終盤であり、次第に傾斜は緩やかになって沢沿いの道に入る。そこからは地蔵ヶ岳のオベリスクを見ることも可能であり(8時54分)、9時9分に着いた鳳凰小屋の御主人からは“今日の紅葉は最高だね”と嬉しい太鼓判を押して頂く。

地蔵ヶ岳への砂地の急登はちょっと大変だが、疲れて立ち止まると、正面にはオベリスク、左手には紅葉を纏った観音ヶ岳、そして背後には雲海に浮かぶ富士山という超絶景に囲まれていることが分かって元気百倍。9時56分にお地蔵さんの立っている稜線にたどり着くと、休むことなく最後の岩登りに取り掛かる。

しかし、そこには登攀ルートを示す印は一切付けられておらず、適当に岩の裂け目のような所を選んで一歩一歩オベリスクへと近付いていくのだが、まあ、俺の拙い技術ではその頂点に立つことは最初っから無理。オベリスクまであと数mというところで挑戦を諦め、ここで地蔵ヶ岳(2764m。10時6分)踏破ということにさせて頂く。

しばらく山頂からの絶景を楽しんだ後、10時15分に再出発。上ってきた岩場を慎重に下り、小さなお地蔵さんが集団で立っている場所(10時25分)まで下りてくる。その前後で何名かの登山者とすれ違うが、快晴&紅葉の影響で皆さんニコニコ顔であり、おそらく俺も似たような表情をしているのだろう。

途中のアカヌケ沢の頭(10時34分)まで来ると北岳間ノ岳農鳥岳白峰三山だけでなく、オベリスクの向こうには甲斐駒ヶ岳の格好いい姿まで見えてくる。鞍部に立つ鳳凰小屋分岐(11時3分)の表示には“地蔵岳30分、観音ヶ岳40分”と書かれていたが、それよりは幾分早く、11時27分に観音岳(2840.7m)に到着。標識の後ろのちょっとした岩場の上が鳳凰山の最高地点になる。

ここまでくるとさすがに両足に疲れを感じてきたが、次の薬師岳(11時55分)まではほとんど平坦なので問題なし。しかし、どう見ても山頂の標識がある場所よりも北側の岩場の方が高いだろうということで、休憩後、中道に入ってすぐのところのロープを跨ぎ、12時6分に地形図上の2780mピークに立つ。

さて、ここから先は青木鉱泉までの長〜い下りが待っており、“青木鉱泉2時間45分”の表示がある御座石(12時40分)まではそれなりの急降下が続く。その後40分くらいで笹原の歩きやすい道になり、“青木鉱泉1時間40分”の標識(13時24分)〜林道出合い(13時55分)と歩いて14時21分に中道登山道入口。最後は舗装道路をテクテク歩いて14時55分に青木鉱泉の駐車場まで戻ってくる。本日の総歩行距離は18.5kmだった。

ということで、準備不足のせいもあって滝見物の方はやや残念な結果となってしまったが、地蔵ヶ岳〜薬師岳間の稜線歩きはその不満を補って余りある至福のひとときであり、紅葉の時期に合致したこともあって最高の経験をさせてもらった。次は白峰三山も歩いてみたいけど、一泊二日では大変なのでしょうか。