エイリアン:コヴェナント

2017年
監督 リドリー・スコット 出演 キャサリン・ウォーターストンマイケル・ファスベンダー
(あらすじ)
2104年、植民地惑星オリガエ-6を目指して航行中だった宇宙船コヴェナント号は、突如発生したニュートリノによる衝撃波の影響で機体の一部を損傷し、同時に船長のブランソンを失ってしまう。彼のパートナーだったダニエルズ(キャサリン・ウォーターストン)は悲嘆に暮れるが、ちょうどそのとき修復作業中の隊員が謎の信号を受信し、その発信元の惑星を調べてみたところオリガエ-6より移住に適していることが判明する…


2012年に公開された「プロメテウス」の続編であり、同時に「エイリアン(1979年)」の前日譚にもなっている。

その「プロメテウス」が公開されたときには娘と二人で映画館まで見に行ったのだが、本作についてはクリストファー・ノーランの「ダンケルク(2017年)」と公開時期が重なってしまったことに加え、全米公開時における評判がいまひとつだったことから、今回、DVDでお茶を濁すことになってしまった。

さて、ブランソンの後任として新しい船長に就任したオラムは、ダニエルズが止めるのも聞かずにその謎の惑星に調査に向うのだが、何とその惑星こそ、前作のラストでショウ博士とアンドロイドのデヴィッドがそこを目指して旅立った“エンジニア”たちの母星だった、という驚愕の展開!

しかし、実際に見ていてそれ程興奮しないのは、エンジニアたちはデヴィッドによって既に全滅させられていたからであり、彼らの正体や我々人類を造り出した理由といった前作から持ち越された宿題は、結局、何一つ解明されないまんま。やっぱりリドリー・スコットに哲学漫画は無理だったのかなあ。

一方、「エイリアン」の前日譚として見ると、まあ、必要最低限の説明責任は果たしており、頭のおかしくなったアンドロイドが暇つぶしのために完全生命体を造り出すというアイデアは決して悪くない。“小人閑居して不善をなす”というのはやはり永遠の真実だった訳であり、エンジニアが我々を創造したのも似たような理由だったかもしれないね。

ということで、まあ、「ブレードランナー(1982年)」に比べればずっとマシだけど、前編との間が5年も空いてしまうのは記憶力の衰えた老人には辛い仕打ちであり、今回も鑑賞後の事後学習がちょっと大変だった。本作と「エイリアン」の間でもう一本撮る気があるのなら、再来年くらいまでに公開して欲しいものです。