2004年作品
監督 ミシェル・ゴンドリー 出演 ジム・キャリー、ケイト・ウィンスレット
(あらすじ)
バレンタインを目前に控えたある朝、仕事に出掛けようとしたジョエル(ジム・キャリー)は衝動に駆られてモントーク行きの電車に飛び乗ってしまい、そこの海岸で髪を青色に染めた不思議な女性クレメンタイン(ケイト・ウィンスレット)に出会う。彼女の方もジョエルに興味を持ったらしく、二人の仲は急速に深まっていくが、実は彼等の過去には“消された記憶”が存在していた…
「破壊屋ブログ」というサイトの管理人さんが集計した“最高の恋愛映画ベスト100”で見事第1位に選ばれた作品。
特に恋愛映画に興味がある訳ではないのだが、第1位の作品を全く知らないというのもちょっと悔しいのでとりあえず見てみることにした。2位(=集計方法を見直すと3位)に入っていたのが王道の「ローマの休日(1953年)」なので、まあ、似たようなもんだろうと思って油断して見ていると、クレジットタイトルにチャーリー・カウフマンの名前を見つけてしまい、頭の中に警戒警報が鳴り響く。
さて、結果的にはそれほど奇想天外なストーリーではなかったのだが、思い出したくない過去の記憶をある種の電気療法によって完全に消し去ることが出来るというのが本作のミソ。冒頭に出会うジョエルとクレメンタインは、お互いの記憶を消し去ってしまった後の元恋人同士だったんだよね。
アカデミー脚本賞に輝くシナリオはなかなか良く出来ており、ジョエルの記憶を消去する作業の過程として幸せだった頃の二人の暮らしぶりを見せてくれるのだが、実はまだクレメンタインを愛していた彼は(無意識の記憶の中で?)その記憶を消されることに抵抗を示す。このへんのドタバタが本作の見所であり、ジム・キャリーを主役に起用した最大の理由なんだろうが、う〜ん、何故か意外に演出が大人しくていま一つ笑えない。
個人的な趣味からすれば、ジョエルとの記憶を盗用してクレメンタインの愛を得ようと画策するパトリック君(イライジャ・ウッド)にもっとスポットライトを当てた方が面白かったような気がするが、まあ、それでは“最高の恋愛映画”には選ばれなかっただろうし、この抑制の効いているところが一般的には高く評価されたのだろう。
ということで、“好きだった人との恋愛を白紙の状態からやり直すことが出来る”というのは、別れた恋人に未練がある人々にとってみれば夢のような話であり、おそらくそんなところが本作の人気の秘密なのだろう。ちなみに、本作と同率一位の「ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(1995年)」も未見なので、そのうち見てみようと思います。