さざなみ

2015年作品
監督 アンドリュー・ヘイ 出演 シャーロット・ランプリングトム・コートネイ
(あらすじ)
英国の片田舎で夫のジェフ(トム・コートネイ)と二人で穏やかな老後を送っていたケイト(シャーロット・ランプリング)は、5日後に迫った結婚45周年の記念パーティの準備に大忙し。そんなところにスイスの警察から1通の手紙が届くが、それは二人が結婚する前に氷河に転落して亡くなったジェフの恋人カチャの遺体が昔のままの状態で発見されたことを知らせるものだった…


シャーロット・ランプリングアカデミー賞の主演女優賞で初ノミネートを果たした作品。

地球温暖化の影響なのか、氷河のクレパスに落ちて亡くなった人の遺体が数十年後にその当時の状態のまま発見されるという事例が実際に起きているそうなのだが、本作の脚本もそれを参考にしており、今から50年前、ジェフとの婚前旅行中に事故死した当時の恋人カチャの遺体が発見されたという知らせが届くところからストーリーは始まる。

どうやら同じ部屋に宿泊する都合上、ジェフはカチャのことを配偶者として宿帳等に記載していたようであり、彼のことを遺族だと勘違いしたスイスの警察が遺体の確認と引取りを依頼してきたらしいのだが、その手紙を読んだジェフの心はあっと言う間に50年前に逆戻り。一人取り残されたケイトは、若々しい状態のまま冷凍保存されたカチャとの三角関係(?)に苦しむことになる。

まあ、しっかり者で夫のことはすべて理解していると思っていた彼女にしてみれば、突然、彼の中に自分の知らない一面があったことに気付かされて動転してしまったのだろうが、最後は、結婚45周年の記念パーティの席上での夫からの最上級の(しかし、どこか月並みな)感謝の言葉を素直に受け取れず、彼に握られた手を思わず振りほどいてしまうところでまさかのバッドエンディング。

したがって、それから先の二人の夫婦生活の行方についてはそれぞれ観客が想像しなくてはならない訳だが、まあ、おそらくそんな深刻な問題にはならないんじゃないのかなあ。金に余裕があるのなら二人でスイスまで旅行してきても良いけれど、そこまでしなくても自然に仲直りできるのが45年間(=これが本作の原題である。)の夫婦生活の重みだと思う。

ということで、「愛の嵐(1973年)」のスレンダーなヌード姿で世界中の男を悩殺したシャーロット・ランプリングも、もう70歳のおばあちゃんになってしまったんだなあ。最新作の「アサシン クリード(2016年)」にもちょっと気になる役どころで出演しているのだが、興行成績が振るわず、続編の製作決定が難しそうなところが残念です。