三度目の正直で旭岳

今日は、昨年来の懸案(?)であった那須の北側にある旭岳を歩いてきた。

今日の天気予報によると天気が良さそうなのは午前中だけであり、ロングコースを歩くのはちょっと難しそう。そんなときにでも歩いてみようと思っていたのが、昨年11月と今年の6月に強風と藪に対する嫌悪感からいずれも敗退していたこの山であり、三度目の正直で今度こそ山頂を踏んでこようと挑戦を決意。

昨年の失敗に懲りて、冬用のグローブ以外にも毛糸の帽子やダウンジャケット、軽アイゼン等をザックに詰め込んで万全を期すが、正直、昨晩の時点では完全にビビっており、いつもなら妻に対して“一晩くらい帰ってこなくても心配無用”と告げるところを、“夕方までに帰宅しなかったら捜索届を出すように”とお願いして、午前5時半過ぎに大黒屋付近の駐車スペースに到着。

さて、車外に出てもう少し明るくなるのを待っていると、一台の車がやって来て“山にでも行くのか”と尋ねられる。同好の士かと思い、“甲子山の奥の旭まで”と答えてみたが、その方は大黒屋の関係者だったらしく、“今日は日帰り入浴の客が多いので、車を下の方の駐車スペースに移動してもらえないか”と依頼され、それに応じて車を動かしてから5時47分に出発する。

大黒屋の敷地内を通って甲子山登山口(5時51分)〜猿ヶ鼻(6時33分)〜甲子峠分岐(6時52分)と進み、7時2分に甲子山(1549m)の山頂。途中、樹間から見える旭岳の山頂に白いガスが張り付いているのがちょっと不安だったが、しばらくすればガスは晴れ上がりそうな気配であり、自宅へのメールを2度目の試みで何とか成功させてから旭岳へ向かう。

笹藪は予想したより乾いている様子だったので、新旧登山道分岐(7時13分)ではカッパの上だけを身に付けて、いざ藪コギ開始。しかし、2回目の自信と新しく付けられたらしい鮮やかなピンクリボンのおかげで背丈を越える笹藪もそう苦にはならず、昨年、そこから引き返した水呑場(7時21分)を過ぎてもいたって順調。

地面が滑りやすい長いロープ場(7時26分)ではちょっと苦労したものの、笹藪の丈はむしろ低くなってきたようであり、足下の踏み跡がはっきり確認できる。辺りの笹が踏み倒されている場所が坊主沼方面への分岐(7時32分)のようであり、そこにも鮮やかなピンクリボンが付けられている。

その分岐を直進して上っていくと周囲が開け、振り向くといつの間にか目線より低くなった甲子山が良く見える。足下は急登のヤセ尾根であり、何カ所か崩落している箇所もあるので注意が必要だが、もう道迷いの心配は無用。期待どおりガスは消えてくれたようであり、ほぼ快晴と言っても良いような青空の下、8時1分に旭岳(1835.2m)の山頂に到着する。

ピラミッド状の山容から想像したとおりのこじんまりした山頂には“黒羽山の会”の山名板が地面に置かれており、それを拾い上げて枯れ枝に引っ掛け、那須岳を背景にして証拠写真を撮る。反対側の福島方面の山はほとんど見分けが付かないが、あの双耳になっているのがおそらく二岐山だろう。

さて、自宅へのメールを済ませてから下山(8時14分)に取り掛かると、滑りやすい急斜面は上るより下りる方がずっと大変であり、へっぴり腰のままでようやく坊主沼分岐(8時45分)まで戻ってくる。長いロープ場(8時49分)でつい足を滑らせてズボンを汚してしまったが、水呑場(8時53分)〜新旧登山道分岐(8時58分)と歩いて、9時6分に甲子山着。

ここまでくればもう安心であり、自宅に無事を知らせるメールを入れてから上半身裸になって着替えを済ます。その後、甲子峠分岐(9時19分)〜猿ヶ鼻(9時33分)と進むに連れて上空は再び雲の占める割合が増えてきたようであり、甲子山登山口(10時2分)を過ぎて駐車スペース(10時5分)に戻ってきた頃には全くの曇天。どうやら今日としては最高のタイミングで旭岳登頂を果たすことが出来たようであり、総歩行距離は9.7kmだった。

ということで、まあ、案ずるより産むが易しということなんだろうが、持参した冬山グッズのお世話にもならず、意外にあっさりと懸案を片付けることが出来て一安心。今後、那須岳を歩いているときに旭岳の姿が目に入っても、口惜しい思いがこみ上げてくるようなことは無くなるものと思います。