皇海山

今日は、予てからの懸案(?)の一つであった皇海山を歩いてきた。

別に日本百名山にこだわるつもりはないのだが、近場の百名山で唯一登ったことがない皇海山はどうしても気になる存在。群馬県側からなら(運転は大変そうであるが)比較的簡単に登れるらしいのだが、自分の性格から考えてそれで満足出来る筈もなく、かといって足尾側から歩くとなると、鎖場と笹薮を含む20km超のロングコースを覚悟しなければならない。

まあ、距離だけなら先日の蛭ヶ岳とそう違わないものの、他の面では圧倒的にこちらが不利ということで、日照時間やコースの状況(=残雪が消え、しかも藪が濃くなる前)、当日の天候等、ほぼ理想的な条件が揃わなければ俺には到底無理と考えていたところ、なんと今週末ならそれらが全部クリア出来そう。早速、往復12時間の予定を立て、午前4時前にかじか荘の先にある遮断機傍の駐車スペースに到着する。

薄暗い中で身支度を整えている間にも3組の登山客(=単独2、二人連れ1)が目の前を通り過ぎて行き、彼等に遅れまいと俺も4時14分に出発する。一の鳥居(5時1分)のところで休憩中の二人連れの先を行き、庚申山荘前分岐(5時56分)に着く前にもう一人追い越してしまうが、少なくともまだ一人先行者が残っており、それだけでもちょっと心強い。

3年ぶり二度目の庚申山に着いたのは6時50分。予定を5分以上オーバーしており、体がいつもより少し重く感じられるが、まあ、余裕は十分みてあるので大丈夫だろう。ここから先は未知の領域であり、所々笹に覆われて踏み跡が見つけ辛くなる中、渓雲岳(7時32分)を過ぎて7時52分に薬師岳到着。

ここで、休憩していたらしい先行者の方と一緒になり、しばらくの間、前後しながら進んでいくが、白山(7時59分)の次のピーク(=山名板は無かったが、ここが蔵王岳らしい。)からの長い鎖場(8時7分)を先に下りていただいた後は、全く追い付くことが出来ず、再び単独行。梯子や鎖の連続する険しいルートを慎重に進んでいくと、8時33分に誰も居ない鋸山(1,998m)に着く。

これで本日の最大の難所はクリアしたことになり、自宅に途中経過をメールしてホッと一息。しかし、その先の下りもなかなかの急斜面であり、不動沢のコル(9時7分)からの上りは深い笹薮と残雪のせいで意外にルートが見つけ辛いと、なかなか気が抜けない。山頂のすぐ手前で、先程の鎖場で別れた先行者の方が下山してくるのと出会い、お互いの無事を確認した後、9時53分にようやく皇海山(2,144m)にたどり着く。

群馬県側からのルートは林道が通行止めのため利用できないらしく、五月晴れの山頂には俺一人。めったに来られる場所ではないのでゆっくりしたいのは山々であるが、先が長いので30分弱の休憩で再出発。不動沢のコル(10時51分)を通って鋸山(11時27分)まで引き返し、360度の絶景をしばし楽しんでから、山頂の分岐を六林班峠方面へ下っていく。

後になって思えば、この区間の尾根歩きが一番快適であり、栃木と群馬の山々を眺めながらの適度なアップダウンの後、12時16分に六林班峠。ここを直進すれば、昨秋登った袈裟丸山の最高点に行けるのだが、物凄い藪漕ぎを強いられるらしく、今日はおとなしく分岐を鋭角的に左折して庚申山荘方面に向かう。ルートは少々歩き辛くなるが、何度かの渡渉を繰り返した後、天下見晴分岐(14時14分)を過ぎて14時24分に庚申山荘到着。

気分的には、これで本日のミッション終了なのだが、実際にはまだ駐車場まで2時間弱の距離が残っている。それなりの達成感に浸りながら山荘前のベンチで休憩を取ってから、一の鳥居(15時15分)まで一気に下り、最後は長い林道をテクテク歩いて、16時4分に駐車スペースまで戻ってきた。GPSによる総歩行距離は約27kmだった。

ということで、好天に恵まれたこともあり、所要時間(11時間50分)を含め、ほぼ計画どおりに山歩きを完了することができ、まずは大満足。有難かったのは、本文中に記載した人以外にも、庚申山荘に前泊した人を含む数名の登山客とご一緒できたことであり、人里外れた携帯の繋がりにくいエリアでも、不安を覚えることはほとんどありませんでした。