マリーゴールド・ホテルで会いましょう

2011年作品
監督 ジョン・マッデン 出演 ジュディ・デンチビル・ナイ
(あらすじ)
長年連れ添った夫を心臓発作で亡くしたイヴリン(ジュディ・デンチ)は、夫の遺した負債を返済するために今住んでいる家を売却せざるを得なくなる。しかし、今更息子夫婦と同居することに気の進まない彼女の目に止まったのが、神秘の国インドの高級リゾート・ホテルで優雅な老後を過ごすという格安の長期滞在プランの広告であり、同じプランに申し込んだ6人の男女と一緒にインドへと旅発つ….


英国のベテラン俳優たちがずらっと顔を揃えたコメディ映画。

ダウントン・アビー」に出演中のマギー・スミスは我が家でも大人気の女優さんであり、そんな彼女の新作である「The Second Best Exotic Marigold Hotel」という作品が海外で公開されたとの情報を妻がどこかから聞きつけてきた。調べてみたところその作品には前作があることが判明し、それがこの作品という次第。

さて、イヴリンたちのたどりついたインドのジャイプールに建つマリーゴールド・ホテルが、“高級リゾート・ホテル”とは名ばかりのオンボロホテルであるという展開は、まあ、この手のコメディ映画のお約束みたいなものなんだろうが、本作のメインテーマはそちらではなく、イヴリンを含む7人の老人たちがインドという全く新しい環境にどのように関わっていくか、という点にある。

経済的な事情から現地で職を探さなければならないイヴリンや、旧友、若い恋人もしくは新しい伴侶を探すというように目的が最初からハッキリしているグレアム、ノーマン、マッジの3人に関しては比較的問題は少ないのだが、インドにやってきたこと自体を“都落ち”と恥じているジーン(ペネロープ・ウィルトン!)は、夫ダグラス(ビル・ナイ)の観光地巡りに同行しようともせず、一日中ホテルに閉じこもったまんま。

そんな中で最も劇的な変化を見せるのがマギー・スミス扮するミュリエルであり、手術が優先的に受けられるからという理由だけでインドにやってきた“古典的”な人種差別主義者にもかかわらず、不可触民出身であるホテルの下働きの娘との交流を通じて自らの考えを改め、ラストではマリーゴールド・ホテルを閉鎖の危機から救済するのに重要や役割を果たす。

ということで、英国のベテラン俳優たちによる達者な演技を眺めているだけでも十分に面白く、新たにリチャード・ギアが出演するらしい続編に期待大。後は、「ヒックとドラゴン2(2014年)」のように我が国での劇場公開が見送りにならないことを祈るばかりです。