グリーンランタン/グリーンアロー

今から40年以上前に発表されたアメコミの古典的名作。

人種差別や環境破壊といった社会問題を初めてアメコミの世界に取り入れた作品として有名らしいのだが、時期的に考えても“子供向け”という制約からは脱し切れておらず、本作の十数年後に発表された「ダークナイト・リターンズ」や「ウォッチメン」のような大人向けの“哲学マンガ”と比較すると、正直、読み応えは格段に落ちる。

また、キャラクター設定に関しても、グリーンランタンはE.E.スミスが創り上げた古典的ヒーローであるレンズマンのパクリだろうし、グリーンアローバットマン劣化コピーのような気がして仕方が無いということで、両者ともアメコミで読むのは今回が初めてなのにもかかわらず、新鮮味はほとんど感じられない。

しかし、こんな困った状況にもかかわらず、つまらないかと問われればそんなことはないと否定せざるを得ないところが本作の面白いところであり、グリーンランタン、グリーンアローそして人間に変装したガーディアンの3人が一台の車に同乗してアメリカ国内を旅して回るという設定は、ほのぼのとしていてどこか憎めない。

ニール・アダムスによる作画はもちろんCGを一切使わないバリバリの手書きなのだが、今見ても全く古さを感じさせない素晴らしい出来であり、その豊かな創造力はシリアスなテーマと愛嬌のあるキャラクターという絶妙な組み合わせが生み出す本作の魅力を見事に表現している。

ということで、本書は娘から借りて読んだものなのだが、“本代はいくら使っても構わない”という我が家のルールに則って彼女の蔵書も確実に増えているようであり、今度、また新しい作品を貸してもらおうと思います。