2007年作品
監督 ザック・スナイダー 出演 ジェラルド・バトラー、レナ・ヘディ
(あらすじ)
紀元前480年のギリシャ。スパルタの王レオニダス(ジェラルド・バトラー)は、ペルシア大王クセルクセスへの服従の証を立てるよう求めてきた使者を殺害。自由を守るため、100万の軍勢を持つ強国ペルシアと戦うことを決意する。しかし、神託により、戦争することを禁じられてしまった彼は、わずか300人の精鋭部隊だけを率いて決戦の地に定めた“ホット・ゲート”に向かって出陣する….
フランク・ミラーのグラフィック・ノベルをザック・スナイダーが映画化した作品。
ペルシア戦争中に行われた“テルモピュライの戦い”を題材にした作品らしいのだが、フランク・ミラーが一枚噛んでいるということで内容は大幅に脚色されており、スパルタ王レオニダスの位置付けは、祖国の“自由”を守るために悪の化け物集団であるペルシア軍に命懸けの戦いを挑む正義のヒーロー。
確か、スパルタが市民皆兵制を採用した背景には、ヘイロタイと呼ばれる多くの奴隷による反乱を恐れたからという特殊事情があった筈であり、そんな彼等が声高に自由を主張することに関してはかなりの違和感があるのだが、本作ではヘイロタイの存在等には一切触れられていないので、まあ、これに関しては良しとしよう。
納得できないのは、将来の兵役に耐えられそうもない子供を遺棄する行為や、国のために自ら犠牲となって死ぬことを美徳と教えるような教育内容を肯定的に取り扱っているところであり、まあ、これらがあるカルト集団内のエピソードとして描いているのなら、それなりの面白がりようもあるのだろうが、(いくら2500年前の出来事とはいえ)国の政策ということにされてしまうと、笑ってばかりもいられない。
実は、近々公開が予定されている続編「300〈スリーハンドレッド〉〜帝国の進撃〜(2014年)」を見るか否かを決めるための判断材料として本作を見てみたのだが、残念ながらこれで見送りが決定。おそらく、DVDになっても見ないと思う。
ということで、テーマ等に関しては全く評価できない作品であるが、グラフィック・ノベルを映像化しようとしたときのザック・スナイダーの“絵”に対するこだわりについては(好き嫌いは別にして)高く評価したいところ。まあ、我が国でも少し前(?)までは普通に行われていたことではあるが、今、映画監督を名乗っている方々におかれましては是非見習って欲しいと思います。