ガフールの伝説

2010年作品
監督 ザック・スナイダー
(あらすじ)
ソーレンは、父の語る“ガフールの勇者たち”の伝説に夢中な子どものメンフクロウ。両親が狩りに出かけたある夜、兄のクラッドと一緒に飛ぶ訓練をしていた彼は謎のフクロウ達にさらわれてしまい、兄ともども“純血団”のアジトにある聖エゴリウス孤児院に連れて来られる。そこでは、世界各地からさらわれてきた幼いフクロウ達を洗脳し、世界制服のための戦士に育て上げるという恐ろしい計画が進められていた….


ザック・スナイダーが監督として初めて手掛けたCGアニメ映画。

フクロウの世界が舞台になっているのだが、彼等は高い知能を有しており、道具を作ったり、読書を楽しんだりするという設定。メンフクロウ以外にも、サボテンフクロウやアナホリフクロウといったいろんな種類のフクロウが存在するのだが、“純血団”の総統メタルビークは、自分たちメンフクロウこそが最も優れた種族だと信じている。

聖エゴリウス孤児院を命からがら逃げ出したソーレンは、伝説の“ガフールの勇者たち”を探し出し、彼等と一緒に純血団との決戦に臨む訳であるが、まあ、この“フクロウ界のヒトラー”が存在するおかげで、どちらが正義かという問題の答えは一目瞭然。あとは謎の兵器を操る純血団との手に汗握る戦闘シーンをじっくり楽しむことが出来る。

当然、空中戦になる訳であるが、金属製の兜と戦闘用のかぎ爪を身に着けた戦士たちのお姿はなかなかカッコ良く、スローモーションを多用しての戦闘シーンは本作の最大の見どころ。このシーンに限らず、本作では風になびく羽毛の細かい動き等が現実以上に鮮明に描写されており、(先日拝見させて頂いた「GANTZ(2011年)」なんかとは大いに異なり)制作側が映画化に本気になって取り組んでいたことが良く分かる。

しかし、個人的な好みからすると、ストーリーがあまりに単純過ぎるのと、主役のソーレン君に人間的(?)な魅力が乏しいことが大きなマイナス点であり、実は「ウォッチメン(2009年)」の如きダークな世界感をちょっと期待していたのだが、あくまでも子供向けに作られているということで、かなり伝統に忠実な勧善懲悪ものになっていた。

ということで、スナイダー作品としては、おそらく(俺は未見の)「300(2007年)」に近いテイストを持った作品のように思われるが、ウェイト差の故か、人間同士の闘いに比べて少々迫力に欠けるのは否めないところです。