シン・シティ

2005年作品
監督 フランク・ミラーロバート・ロドリゲス 出演 ブルース・ウィリスミッキー・ローク
(あらすじ)
心臓に持病がある刑事のハーディガン(ブルース・ウィリス)は、連続幼女殺人犯のロアーク・ジュニアに誘拐された11歳の少女ナンシーを救うため、港の倉庫街へとやってくる。その犯人の父親は、“罪の町”シン・シティを影で牛耳っているロアーク上院議員であったが、ハーディガンは制止しようとする相棒のボブを殴り倒し、一人でナンシーの救出へと向かう….


フランク・ミラーグラフィックノベル「Sin City」を映画化した作品。

内容は、シン・シティを舞台にした3つのエピソードからなっており、ブルース・ウィリス主演の“イエロー・バスタード”の前編に続いてミッキー・ローク主演の“ハード・グッバイ”とクライヴ・オーウェン主演の“ビッグ・ファット・キル”、そして最後に“イエロー・バスタード”の後編で幕を閉じる。

いずれのエピソードにも、とっても男っぽいヒーローとセクシーな美女たちが登場するのだが、その内容たるや、少々くたびれかけた中年男性が愛する美女のために命をかけるという純愛ものばかりであり、容姿や体力は全く彼等とは異なるとはいえ、同じ中年男の俺にとってはとても好ましいストーリー。

映像的には、フランク・ミラーグラフィックノベルの世界を忠実に再現するため、モノクロ+パートカラーという思い切った単純化が図られており、同じ作者の「ダークナイト」を読んだときの印象から推測しても、その目的は相当高いレベルで達せられているものと思われる。

残念ながらいずれも短編作品のため、ミラー作品の最大の魅力であるストーリーテリングの妙を堪能するには少々物足りない面もあるが、まあ、この調子で長編を作っていたら、見る方にとっても相当シンドイ作品になっていたものと思われる故、止むを得ないところなのかもしれない。

ということで、毎度の愚痴になってしまう訳であるが、「20世紀少年」や「カムイ外伝」といった作品の実写化に関わった人たちは、今から5年前に公開された本作をどのような気持ちで見ていたのだろう。確かに製作費といった制約はあるのだろうが、俺にはもっとそれ以前に、原作に対するリスペクトや映画化に当たっての志しといった基本的なレベルで決定的な差があるような気がしてなりません。