テッド

2012年作品
監督 セス・マクファーレン 出演 マーク・ウォールバーグミラ・クニス
(あらすじ)
あるクリスマスの晩、友だちのいない孤独な少年ジョンの願いが天に届き、クリスマス・プレゼントとして貰ったテディベアの“テッド”に生命が宿る。人間のように喋ったり動いたりするテッドは、一躍全米中の人気者としてマスコミからひっぱりだこになるが、それから27年後、ダメ中年男へと成長したジョン(マーク・ウォールバーグ)とテッドのクサレ縁はいまだに続いていた….


昨年、我が国でも話題になったちょっとお下品なコメディ映画。

テッドの外見は27年たっても愛くるしいテディベアのままなのだが、性格の方は“大成しなかった元名子役”の例に漏れず(?)、相当ひねくれてしまっている。マスコミにちやほやされていた頃にいろいろ悪い遊びも覚えたらしく、その下品なエロオヤジぶりと外見の可愛らしさとのギャップが観客の笑いを誘う。

基本となるストーリーは、ジョンとテッドにジョンの恋人ロリー(ミラ・クニス)が加わった“三角関係”であり、ジョンはテッドとの“友情”をこのまま続けていくか、それともそれを清算してロリーとの結婚に踏み切るかの二者択一を迫られることになる。

まあ、テッドの存在がジョンの中に残っている“子どもっぽさ”の象徴であることを考えれば、本作も“大人になるためには”というテーマを持つ多くの作品の中の一つに過ぎない訳であり、その意味では特に目新たしいストーリーとは思えない。結局、ジョンの“子どもっぽさ”が容認されてしまうラストも相当安易であり、“毒”を楽しむ大人向けのコメディとしては少々物足りない。

しかし、そんなストーリー上の弱点を補ってくれているのが、テッドの昔の知り合いという設定で登場する人物に関する“あの人は今”的なネタの数々。勿論、一番面白かったのは“フラッシュゴードン”であり、まさかサム・ジョーンズ本人が登場するとは思わなかったのだが、その後、ノラ・ジョーンズまで出てきて吃驚仰天。

ということで、過激な映像は思ったよりも少なく、本作の毒はもっぱらテッドのセリフに含まれているのだが、直接耳からではなく、字幕を通して目で確認するのではその威力も半減。残念ながら、本作も、英語のヒアリングが出来ない人々には本当の魅力が伝わらない作品の一つということになるのでしょう。