2013年作品
監督 サム・ライミ 出演 ジェームズ・フランコ、ミラ・クニス
(あらすじ)
サーカス一座の奇術師オズ(ジェームズ・フランコ)は、口先だけの無類の女たらし。カンザスでの興行中、竜巻に巻き込まれて魔法の国オズに迷い込んだ彼は、そこで西の魔女セオドラ(ミラ・クニス)と出会い、彼女の誤解を良いことに、オズの国を救うと予言されている“偉大な魔術師”になりすます。そして、彼女の姉である東の魔女エヴァノラから悪の魔女を倒すよう依頼されるのだが….
先日見た劇団四季の「ウィキッド」に感激した妻からのリクエストにより鑑賞。
興行的に大成功を収めた「アリス・イン・ワンダーランド(2010年)」以降、昔のお伽噺に最新のCG技術と派手なアクション・シーンを取り入れた作品がいくつも製作されており、本作もそんな作品の一つなんだろうと思って拝見したのだが、意外や意外、CGはともかく、アクションの方はかなり控え目であり、「オズの魔法使(1939年)」の前日譚を実に真っ当に描いている。
まあ、それ自体は決して悪いことではないものの、“インチキ魔術師がオズの国の王になる”という結末が分かってしまっているだけに、ストーリーで見せるためには、そこにたどり着くまでの過程に意外性を持たせるような工夫が不可欠。しかし、残念ながら本作のストーリーはあくまでもストレートであり、オズは最初からインチキ魔術師だし、南の魔女グリンダも見るからに優しそう。
おそらく、“子供向け”ということを強く意識しているため、「ウィキッド」のような複雑なストーリーを採用することを嫌ったのだろうが、それではアクションやストーリー以外に何があるのかというと、残念ながら明確な答えは浮かんでこない。
見終わってから調べたところによると、本作の主演には、最初、ロバート・ダウニーJr.が予定されていたらしく、それが実現していたならば、彼ならではのいかがわしさに溢れた“怪演”が本作の大きな見所の一つになっていたのかもしれないのだが、経験の浅いジェームズ・フランコではまだまだ力不足だった。
ということで、せめてマスコット的に登場する翼の生えた猿や陶器の少女がもう少し可愛ければと思うのだが、正直、こちらのデザインもかなり残念な出来。結局、それなりに楽しいCG映像と三人の美人魔女の艶やかなお姿を楽しむだけの作品になってしまったようです。