かぐや姫の物語

山歩きからの帰宅後、妻と一緒にスタジオジブリの「かぐや姫の物語」を見に行ってきた。

俺は高畑勲監督のファンでも何でもないので、妻が“見たい”といったときには少々戸惑ってしまったのだが、まあ、この誰でも知っているお伽噺を老巨匠がどのように料理しているのか気にならなくもなかったので、とりあえずOKを出しておいた。

さて、映画が始まると、“画期的な映像表現”といわれる手書きの絵が動き出したような映像にちょっぴり興味を惹かれるが、まあ、10分も見続けていれば新鮮味も失せてしまう。そのような状態で改めてヒロインの姿を眺めてみると、“絶世の美女”という設定からは程遠い普通の少女であり、正直、あまり魅力は感じない。

ストーリーの方も、どのあたりから原作と違った展開になるのか、興味深く見守っていると、何と五人の公達まで登場してしまい、これではほとんど原作どおりではないか! まあ、所々でオリジナルなエピソードも出てくるのだが、結局は原作のストーリーに収束されてしまうため、2時間以上にわたり“良く知っている話”を延々と見続けさせられることになった。

ということで、これが15分程度の作品であれば、老巨匠の手遊びということで許容できるのだが、今の時代に50億円の巨費を投じて竹取物語長編映画化することにどんな意味があるのか、俺にはさっぱり理解できない。まあ、本作の大赤字でスタジオジブリの経営が悪化し、宮粼駿がカムバックせざるを得なくなるというのなら、それなりの意味があったことになるのでしょうが。