ブギーナイツ

1997年作品
監督 ポール・トーマス・アンダーソン 出演 マーク・ウォールバーグバート・レイノルズ
(あらすじ)
1977年、ロサンゼルス郊外。ディスコ・クラブで働いていた17歳のエディ・アダムス(マーク・ウォールバーグ)は、ある日、ポルノ映画監督のジャック・ホーナー(バート・レイノルズ)にスカウトされ、家出同然に身体一つでポルノ業界へ飛び込んでいく。若さと持ち前の身体的特徴(?)を活かした彼は、名前をダーク・ディグラーに改め、ポルノ映画のスーパー・スターへと上り詰めていくのだが….


ポール・トーマス・アンダーソン出世作をようやく鑑賞。

一応、エディ少年のポルノ男優としての栄枯盛衰みたいなものがメインのストーリーになっているのだが、それと同時にポルノ業界にたむろする様々な人物のユニークな生き様が興味深く描かれており、群像劇に分類することも可能。「マグノリア(1999年)」を撮るための準備は、この時期に既に出来ていたということなんだろう。

そのため、脇役として登場する人々がいずれも魅力的であり、みんなの母親代わりになってくれる優しいアンバー(=女優)、美人で素直なローラーガール(=女優)、根っからの好人物で手品の得意なリード(=男優)、そしてオーディオの販売店を開く夢を持っているバック(=男優)など、みんな頑張って楽しそうに生きている。

しかし、一歩ポルノ業界の外に出ると彼等に対する世間の風はとても厳しく、自分の子供に会わせてもらえなかったり、学校の同級生にからかわれたり、強盗事件に巻き込まれたり、銀行から融資を断られたりと散々な目に遭ってしまう。主人公のエディにしても、スーパー・スターとして通用するのはほんの限られた世界だけのことであり、まあ、基本はコメディなのだが、そんなしんみりさせるシーンを織り交ぜながら最後までキッチリ楽しませてくれる。

そして、それ以上に素晴らしいのが、本作がポール・トーマス・アンダーソンのみならず、ジュリアン・ムーアヘザー・グレアム、ジョン・C.ライリー、ドン・チードルといった出演者たちの出世作にもなっているところ。エディに一目惚れしてしまうスコティJr.役のフィリップ・シーモア・ホフマンの演技も最高に可笑しかった。

ということで、ジャック・ホーナー役の俳優さんが誰だか判らずに見ていたのだが、エンドクレジットでバート・レイノルズだと知って吃驚仰天。すっかり髪が白くなってしまったが、長らく人気が低迷していた彼にとっても本作は重要な転機をもたらす作品になったようです。