オペラ座の怪人 25周年記念公演 in ロンドン

2011年作品
製作 キャメロン・マッキントッシュ 出演 ラミン・カリムルー、シエラ・ボーゲス


ロンドンで開催された初演25周年記念公演の記録。

会場がロイヤル・アルバート・ホールということで、最初、「レ・ミゼラブル 25周年記念コンサート(2010年)」みたいなコンサート形式の催しを予想していたのだが、これがビックリ、正真正銘のミュージカルだった!

しかも、記念公演ということで、出演者から衣装、舞台装置に至るまで、相当力が入っており、豪華でスピード感のある舞台は迫力満点。初代クリスティーヌ役を務めたサラ・ブライトマンがゲスト出演するカーテンコールを含んだ3時間弱の上演時間中、至福のときを過ごさせていただいた。

先日拝見した映画版「オペラ座の怪人(2004年)」の出来がいま一つだったため、こっちの方が面白いだろうと思ってはいたのだが、その水準は見る前の予想をはるかに超えており、映画版よりも劣っているのはクリスティーヌ役のシエラ・ボーゲスが役柄よりもちょっぴり年上に見えることくらい。(それを考慮しても、彼女の自信に満ち溢れた演技や歌唱の確かさは、映画版のエミー・ロッサムを大きく上回っている。)

特に素晴らしいのはファントム役のラミン・カリムルーであり、まあ、ファントムの生い立ちを考えれば、映画版のような野生的なイメージを持つキャラクターの方が正解なのかもしれないが、ミュージカルにおいてはそのような合理性は不要であり、本作のゴシック・ロマン的な雰囲気にはラミン・カリムルーが演じた気品のあるファントムがピッタリ。そういえば、彼は「レ・ミゼラブル 25周年記念コンサート」でも素晴らしいアンジョルラスを見せてくれていた。

また、コメディリリーフを務めたカルロッタやムッシュー・アンドレ&ファルマンのコンビをはじめ、出演している皆さんがそれぞれに素晴らしいのだが、残念なのは、撮影しているカメラの切り替えが早すぎるため、会場で見ているようなライヴ感が十分に伝わってこないところ。これが本作の唯一の欠点であり、出来ればもっと“分かっている人”に編集をお願いしたかった。

ということで、「オペラ座の怪人」にしても、「レ・ミゼラブル」にしても、もし30周年記念公演があるのなら、なんとかワールド・ツアーを行っていただき、日本でも生で見られるようにしてもらいたい。そのときには、万難を排して会場に駆けつけるつもりです。