2012年作品
監督 ロバート・ロレンツ 出演 クリント・イーストウッド、エイミー・アダムス
(あらすじ)
メジャーリーグの名スカウトマンであるガス・ロベル(クリント・イーストウッド)も寄る年波には勝てず、近頃は特に視力の低下が著しい。失明の恐れもあるという医師の言葉を無視して、単身、間近に迫ったドラフトの目玉選手の視察へと向かうが、そんな彼の状況を心配し、親元を離れて敏腕弁護士として活躍している一人娘のミッキー(エイミー・アダムス)が駆けつけてくる….
「グラン・トリノ(2008年)」以来4年ぶりとなるクリント・イーストウッドの主演作を妻と一緒に鑑賞。
実は、ミッキーの方も弁護士としてのキャリアの大切な時期を迎えており、次の訴訟に勝つことが出来れば、長年の念願であったポストへの昇任が約束されているという設定。勿論、彼女はそのチャンスを諦めた訳ではなく、旅先で資料を作成し、次のプレゼンまでには職場復帰するつもりでいたのだが、彼女の突然の戦線離脱を不安視する経営陣は、結局、別の弁護士にそのチャンスを与えてしまう。
まあ、彼女がこのようなリスクを冒してまで父親の元に駆けつけた理由が“親子の情”以外の何ものでもないというあたりが本作の全てであり、脚本上の工夫の無さを如実に物語っている。全てを失いかけたミッキーが、偶然、金の卵を発見するという、あまりにも出来過ぎな展開は百歩譲って(?)許すとしても、父娘が疎遠になったことの原因が“ガスの殺人”にあったということの有する衝撃度は全くもって余計であり、せっかくの絵にかいたようなハッピーエンドの雰囲気を台無しにしてしまっている。
とはいうものの、主演のクリント・イーストウッドとエイミー・アダムスは、ともに俺のお気に入りの俳優であり、ノース・カロライナの田園地帯ののんびりとした風景をバックにしたお二人のツーショットは、もう、それを眺めているだけで幸せな気分にしてくれる。こんなことであれば、父娘の確執なんていう陳腐な設定はバッサリと切り捨て、野球好きの父娘が協力しながらスカウト旅行を続けるというストーリーにして欲しかった。
ということで、まだまだ若いと思っていたエイミー・アダムスも今年で39歳。元々遅咲きの人だったので仕方ないのだが、そろそろ演じる役柄を広げていく努力が必要なお年頃であり、近々公開予定の「マン・オブ・スティール(2013年)」でどんなロイス・レーンを見せてくれるのか、今から楽しみにしています。