キャメロット

1967年作品
監督 ジョシュア・ローガン 出演 リチャード・ハリスヴァネッサ・レッドグレーヴ
(あらすじ)
グエナヴィア(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)を王妃に迎え入れたアーサー王リチャード・ハリス)は、この世から争いを無くすため、各地の有力者に対して武器を捨てて円卓に集うよう号令を出す。フランスのランスロットもその呼び掛けに応じて王都キャメロットへと馳せ参じるが、彼のこれみよがしな“高潔さ”が気に入らないグエナヴィアは、3人の騎士を口説いて彼と対決するように仕向ける….


アーサー王伝説に題材を得たハリウッド製ミュージカル大作。

マイ・フェア・レディ(1964年)」のアラン・ジェイ・ラーナー&フレデリック・ロウのコンビによるブロードウェイ・ミュージカルを、「南太平洋(1958年)」のジョシュア・ローガンの監督によって映画化したものであり、豪華な衣装やセット等からみても相当な資金が注ぎ込まれた作品らしい。

しかし、作品の出来はそれらミュージカルの名作には遠く及ばないというのが正直な感想であり、その最大の理由は、アーサー、ランスロット、グエナヴィアによる三角関係をあまりにも正面からマトモに取り扱ってしまったところ。アーサー王伝説には、他にいくらでもミュージカル向きの単純で痛快なお話しがあると思うのだが、本作では182分間という上映時間の大半をこの重〜い三角関係のエピソードに充ててしまっている。

まあ、同じ三角関係でも、その内の一人が明らかな邪魔者という設定であれば話を単純化(=ミュージカルの題材にピッタリ!)することが出来、事実、本作でもグエナヴィアを“悪女”として描こうとする努力の跡が見られるのだが、残念ながらそれも中途半端であり、三角関係特有の重苦しいモヤモヤ感は最後まで解消されることはない。

また、別の解決策として、この三角関係を“若気の至り”のせいにしてしまうという方法もあったと思うが、主役のお二人の公開当時の年齢はともに30歳台であり、とてもこの手は使えない。逆に、ランスロットに扮したフランコ・ネロ(=26歳)の前半における軽薄そうな演技が、ちょっと浮いてしまったような結果になっている。

ということで、結局、誰も幸せになることなく映画は終わってしまうのだが、実はヴァネッサ・レッドグレーヴフランコ・ネロは、本作から40数年後に「ジュリエットからの手紙(2010年)」で久しぶりの共演を果たしており、二人の役柄がちょっぴり本作の後日談的になっているのが面白かったです。